「見極めができれば、投資は活発になる」
前出の山崎氏は「まだ底値をさぐっている状態なので、いまは様子見。見極めができれば、投資は活発になるでしょう。外資系は、優良物件は利回り重視で、その他の物件は半値以下あたりで仕入れる」と予測している。
その半面、投資対象には変化がみられる。米投資会社のオークツリーは8月に、不動産への直接投資を避けて、リプラス・レジデンシャル投資法人(リプラスREIT)の株式を取得。現在約49%の取得をめざして株式の公開買い付け(TOB)を実施しているところ。また、米国系ノンバンクのGEリアルエステートなどもREITへの投資を積極化している。そこには、現物の不動産を購入するよりもリスクが小さく安心して投資できるとの判断がある。
リプラスREITの設立母体で、賃貸保証やアセットマネジメント事業を展開していたリプラスが経営破たんしたが、設立母体と資産運用法人は別法人。今後、資産運用会社の経営基盤が揺るがないことがはっきりすれば、安心して買収するところが出てくる可能性もある。
その主役と目されるのが外資系でも、「リーマン・ショック」の傷が浅い欧州系やアラブ系。国内の大手不動産会社や不動産ファンドなどが躊躇しているうちに、外資系特有の決断の早さで勢力を伸ばしていきそうだ。