ほとんどの新聞社の新聞事業が赤字に陥る?
王子製紙では、再値上げの経緯について、
「08年4月の値上げの際には、かなり前から交渉を進めてきました。7%の値上げを要請していたのですが、5%の値上げということになりました。今回の17.4%という数字は、交渉が長引く間にも、原材料費などのコストが上がっていたため、その分も反映させたということです」(広報室)
と説明する。原油価格の上昇は、08年7月で「一段落」した形だが、古紙や木材チップなどの原材料費は高騰したままだ。これを価格に転嫁した結果、印刷用紙の価格は、過去3年で約3割が上昇している。新聞用紙についても、少しでも原材料価格の転嫁を進めたい、との考えのようだ。
一方、用紙値上げを報じた日経新聞では、
「現時点で申し上げられることは、ありません」(経営企画室広報グループ)
とファクスでコメントするのみで、今後の対応方針を明らかにしていない。
新聞社の側からすれば、新聞用紙の値上げ分を購読料に転嫁しなかった場合、「ほとんどの新聞社の新聞事業が赤字に陥る」との指摘もある一方、転嫁した場合には「読者離れがさらに進む」という可能性もあり、いわば「八方ふさがり」に近い状況だ。