広告収入の落ち込みや製作コストの高騰で新聞業界が苦境を迎えるなか、製紙各社が再度、用紙代の大幅値上げを求めていることがわかった。地方紙の一部では購読料値上げが始まっており、全国紙が追随するかが注目される。値上げ要請を報じたのは、日本経済新聞。記事では「交渉は難航が必至」と報じているが、当事者でもある同紙の対応方針について聞いてみると、値上げの問題に直結するだけに「申し上げられることはない」と口が固い。
「日刊ゲンダイ」は10月1日発行分から値上げ
ここ数年、原油価格や木材などの原料価格は高騰しており、印刷用紙の価格も上昇を続けている。これを受けて、製紙各社は新聞用紙について08年4月、28年ぶりに約5%の値上げに踏み切った。
この余波を受けて、山形新聞が08年7月から購読料を値上げし、秋田魁新報は08年9月末で夕刊を廃止することを決めるなど、読者にも実際の影響が出始めている。これが全国紙に波及するかが注目されるなか、大都市圏で夕刊紙「日刊ゲンダイ」を発行する日刊現代も、08年9月25日に、10月1日発行分の紙面から値上げを行うことを発表したばかりだ。理由は、やはり「原油高や用紙などの資材高騰、製作コスト増大」で、1部120円を130円に値上げする。
ところが、製紙各社は、新聞各社に対して再値上げを要請しているのだという。日本経済新聞が2008年9月27日に報じたところによると、製紙各社が新聞各社に求めている値上げ幅は、王子製紙が17.4%(08年10月から)、大王製紙・中越パルプ工業・丸住製紙が同じく17.4%(08年11月から)、日本製紙が13%(09年1月から)。記事では、
「新聞各社は広告需要減など厳しい環境にあるため値上げには強く抵抗する構えで、交渉は難航が必至だ」
と、今後の見通しを報じている。
08年4月の値上げから半年後の再値上げも異例だが、当事者でもある新聞社が、自らの紙面で新聞業界の先行きの厳しさに言及するのも異例だ。