新聞各紙が出した麻生内閣の支持率は44~53%と、最大で10ポイント近くの違いが出ている。さらに、次の総選挙で自民・民主どちらが有利かでも見方が分かれる混乱ぶりなのだ。「麻生人気」は、どこまで本当なのか。
支持率、10ポイント近いずれ
各紙で支持率が違う麻生太郎首相
科学的な世論調査のはずなのに、これほど調査結果やその見方が違うものなのか。
毎日新聞は、2008年9月24、25日の世論調査結果を発表。次期衆院選で勝ってほしい政党として、自民が41%と民主の37%より上回ったと報じた。この結果は、ここ1年で初めてのことだという。そのうえで、「こうした数字を与党は好感しており、早期衆院解散・総選挙に向けた流れが加速しそうだ」との見方を伝えた。
一方、産経新聞は、ほぼ逆の見方だ。フジテレビとの25日の合同世論調査で、衆院選比例代表で投票したい政党は、民主が39.3%と自民の36.0%を上回ったと報告。そして、次のように書いたのだ。「自民党が見込んだ『総裁選効果』や『ご祝儀相場』はみられず、新内閣発足の勢いで衆院解散・総選挙に臨むという自民党のシナリオ通りにはならなかった」
これらの記事を素直に読めば、こんな結論が考えられる。麻生太郎新総理は、毎日の見方に立てばすぐに解散を、産経の見方なら解散を先延ばしした方が賢明だと。新聞を見比べた読者は、頭が混乱しそうだ。
支持率調査でも、各紙の結果は最大10ポイント近くずれている。
産経が44.6%と、主な新聞では最も低い。続いて、毎日45%、朝日48%、共同通信48.6%、読売49.5%、そして、最も高い日経が53%だ。
福田康夫前首相が改造内閣を発足させたときも、各紙調査結果がバラバラになった。これは、J-CASTニュースが8月4日に報じているが、マスコミの世論調査は当てにならないものなのか。
「解散風を変えるのは難しい」
インターネット新聞「JANJAN」代表で市長経験のある竹内謙さんは、調査結果の違いについてこうみる。
「質問内容や聞き方、調査のタイミングによって、世論調査結果の数字が違ってきます。例えば、福田改造内閣について、東大の菅原琢准教授は、質問に『内閣改造』という言葉を入れただけでイメージアップするということを指摘しています」
ただ、各紙の支持率調査について、明確に分かる傾向も指摘する。それは、麻生内閣は、各紙とも小泉内閣以降で発足直後最も低い支持率になっていることだ。
比較的低い支持率になった理由について、各紙では、「お友だち内閣」とも言われた組閣・党役員人事の問題や国民の感覚に近くないことなどが挙げられている。
「麻生人気」で解散のシナリオは、今後どうなるのか。竹内さんは、こう言う。
「解散風を変えるのは難しいと思います。すでにポスターを発注するなど、候補者はもうその気になって準備していますから。首相に解散権はありますが、いったん強い風が吹くと変えていくのは難しいでしょう。また、マイナスになりかねない要素も多く、自民党内などにも来年まで延ばすより早い方が有利との考えがあるようですね」
麻生首相自身は9月25日、世論調査結果について、「仕事をした上での評価ではない」として支持率にあまり興味がないことを明らかにした。また、与謝野馨経済財政担当相は26日、スタートとしては「いい数字だと思う」と答えている。
「麻生人気」が本物かどうかは、選挙の結果いかんということにもなりそうだ。