テレビ番組がバナナダイエットを取り上げたところ、スーパーなどでバナナの品切れがもう一週間も続いている。2007年は、納豆ダイエットの品切れ問題があったが、それに次ぐ騒ぎだという。そんなにありがたがるほど、健康によいものなのか。
森公美子さん7キロも減量に成功
朝バナナダイエットを紹介したサイト
「2、3日間、バナナは全部、ありませんでした。昨年の納豆ダイエットのときに次ぐ反響ですね。注文の半分ほどしか入荷せず、すぐ売り切れるんですよ」
熊本市内のスーパー「ハローグリーンエブリー」長嶺店の店長は、こう明かす。
この騒ぎのきっかけが、TBS系で2008年9月19日夜放送の「ドリーム・プレス社」だ。女性タレント8人が出演する4時間のダイエット特別番組で、その中で、森公美子さんは「朝バナナダイエット」に挑んだ。そして、毎朝食はバナナと水だけという生活を1か月半続けたところ、7キロも減量に成功したというのだ。
その放送後から、全国のスーパーなどで、バナナの品切れが続出し始めた。バナナを輸入しているドールの広報担当者の話。
「量販店では、バナナは品切れ状態になっています。それが1週間も続いているようです。こんなことは、ここ数年でも聞いたことがありませんね」
ブームは、08年春から。ぶんか社の本「朝バナナダイエット」シリーズが3月1日からの発売以来、累計40万部のヒットとなり、みのもんたさん司会の日本テレビ系「おもいッきりイイ!!テレビ」が6月5日放送から計3回も特集した。
それに合わせて、ドールでも、バナナ出荷が伸び始め、8月は前年同期の25~27%に急増、卸価格も12%アップした。そこに、TBSが特番を放送したため、スーパーなどでの品切れ騒動に発展したらしい。
そもそもは、ミクシィのコミュニティ「痩せる」で06年10月5日、「朝バナナダイエット」の著者でもある、はまち。さんのダイエット法が紹介されて広まった。そこでは、朝バナナと水を摂れば、豊富な酵素で消化が早くなり、昼・夕食は自由にしてもやせるとしている。コミュニティは、これまでに1000件ものコメントが寄せられたほどの人気になっている。
「特定の食品を食べてやせる方法は、やらない方がいい」
納豆ダイエットの騒ぎでは、07年1月7日放送の関西テレビの番組「発掘!あるある大事典II」が、虚偽のデータで効果を強調していたことが問題になった。再び騒動になったバナナダイエットは、本当に効果があるのか。
TBSの「ドリーム・プレス社」担当者は、J-CASTニュースの取材に対し、こう説明する。
「番組で放送したように、効果はあるということです。納豆ダイエットのときのことを踏まえ、事実のままに数字をいじらずにやせたことを紹介しています」
放送直後は、視聴者から「どうやってするのか」といった問い合わせが1日60件ほど寄せられ、その後も、毎日10~20件あるという。しかし、品切れなどに対する苦情はないとしている。
新潟大医学部の岡田正彦教授(予防医学)は、バナナダイエットに一定の効果はあるとみる。「果物は、カロリーが多くないので、一日の食事での割合が大きくなれば、当然やせてきます」。しかし、このダイエットをすることには、懐疑的だ。
「栄養には、炭水化物、たんぱく質、脂肪という3大要素があります。果物ばかり摂取すると、たんぱく質や脂肪が欠乏して、様々な病気にかかりやすくなります。体内細胞が弱って感染症になったり、がんにさえなったりすることがあります。たんぱく質でできている抗体が減って、がんを防ぐ免疫機能が弱るからです。リンゴ、コンニャクなど特定の食品を食べてやせる方法は、やらない方がいいでしょう」
ただ、岡田教授は、肥満は健康によくないため、減食と運動でやせるべきだと言う。
「ごはんやおかずなど1日に食べる量を、まんべんなく減らしていくことです。楽してやせようとするのではなく、運動しながらやせる努力が必要でしょう。流行に振り回されないことが一番大事。人によって体質、生活習慣などが違うので、タレントなどのまねをすれば健康を壊して損をすると思いますよ」