単行本大ヒットないがWebでの人気まだ健在
「ケータイ小説」サイト内での人気はまだまだ根強い
「Yahoo!JAPAN知恵袋」に、中学1年女子のこんな意見が書き込まれていた。
「イロイロなところで
『ケータイ小説は文章がおかしい・稚拙だ』
『想像力をかきたてられない』
などと、言われています。
私もそう思います。ふつうに作家さんの本のほうが、おもしろいです」
また、別の読者は、
「お涙ちょうだいな雰囲気なのに、全く泣けなかったり…
のちのちの展開に意外性がないことが多かったり…」
同じような意見がネットで複数見られる。ところが、ケータイ小説を投稿したり、自由に閲覧できるWebサイトを運営する魔法のiらんど(東京都千代田区)ではPVが伸びているという。
「08年3月末現在の月間PVは38億で、前年同月より5億PV増えています」と話し、Webでの人気は健在であることをアピールしている。
同社は人気の作品を書籍化していて、毎月数冊のぺースで出版している。これまでに70タイトル以上を書籍化し、累計1300万部を売り上げている。ただ、個別の部数や直近の売れ行きについては、「ノーコメント」。また最近、ケータイ小説が上位にランクインしない理由について、こう説明する。
「新しい形の小説としてジャンルが確立したいま、色んな作品が書籍化されるようになりました。読者が分散し、ベストセラーが生まれにくくなっています」
07年のベストセラーランキング(単行本・文芸部門、トーハン調べ)で2位になった書籍「赤い糸」の発行元、ゴマブックス(東京都港区)も、
「確かに、このところ業界全体で大ヒットはないですね」
と認める。
本が売れない時代、新たなヒットメーカーであるケータイ小説に出版社としては今後も期待したいところだ。しかし読者からすれば携帯でメールやブログのように読めれば十分、ということなのだろう。