「少女から生きたまま心臓移植」 映画「闇の子供たち」の問題PR

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「身近にある問題と感じてほしかった」

   映画が「真実」「現実」なら、生きた子どもからの心臓移植に日本人が加担していることになる。そんなことは、本当にあるのか。

   これについては、映画の取材協力者が明確に否定している。大阪大医学部付属病院の福嶌教偉医師は、日経ビジネスサイトの08年8月8、11日付連載記事で、

「タイで、日本人が心臓移植を受けた例はない」

と明かす。

   映画では、少年の母親が、命を金で買うことになる手術をNGOの女性から止めるよう言われ、「あなたは息子に死ねと言うのですか」と反論する。この言い方について、福嶌医師は、自らの体験からこう話す。

「僕としては、ちがう言い方をしてほしかった」
「心臓移植を受けようと思っている子供の両親が、よその子供を殺してまで自分の子供を助けたい、精神的にそう思っている人は、一人もいない」

   心臓移植には、少なくともエキスパートが8人必要で、リスクが高すぎて儲けることは難しいとも言う。さらに、誤った情報を与えた結果、海外で移植を受けた子どもたちがしょく罪の意識を持つことが怖いとし、「その子供は自殺するかもしれない」との懸念も示している。

   ネット上の批判や福嶌医師の危惧について、映画のPRをしている樂舎の担当者は、こう説明する。

「すべてフィクションとしてしまうと、ほかの国の関係ない話と受け取られる恐れがあると考えました。売買春は実際にあるため、身近にある問題として感じてほしかったことがあります。映画のラストシーンは、見ている人に跳ね返ってくるようなものにしています」

   生きた子どもからの心臓移植については、「かなり極端な例で、そこはあくまで劇映画ということです」として、「作品は、ノンフィクションを強調しているわけではありません。国を告発するというのではなく、大人の醜さを描きたかったということです」と話している。

   また、無許可撮影については、「現地の警察に協力をお願いし、許可を受けて行っています。事実関係が誤解されている部分があります」としている。なお、阪本監督は9月24日、上映中止を受けてタイで記者会見し、「残念の一言です。上映が成立し、タイ人の意見、批評、感想を聞きたかった」などと話した。

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