国民的人気アニメ「サザエさん」が25年経った姿を描いた実写版CMが話題となっている。ところが、CMにいまのところ肝心のサザエさんが登場していない。25歳年をとった、カツオ、ワカメ、タラちゃん、イクラちゃんの4人の様子が実写版で見ることができるが、ネット上では、サザエさん役、波平役に、どの俳優がふさわしいかで議論になっている。
カツオ、ワカメ、タラちゃん、イクラちゃんが大人に
江崎グリコの「25年後の磯野家」CM
注目を集めているのは江崎グリコが2008年9月10日にオンエアを開始した「アーモンドプレミオ/ディアカカオ」の新CM。アニメの「サザエさん」の25年後を実写版で再現した内容で、カツオ役には浅野忠信さん(34)、ワカメ役に宮沢りえさん(35)、タラちゃんに瑛太さん(25)、イクラちゃん役に小栗旬さん(25)と、いま旬の若手俳優を起用している。
カツオ、ワカメといったキャラクターがアニメの設定より25歳年をとり、俳優もほぼその年齢にしている。現在放送中の「再会」篇に加え、イクラちゃんの現在の仕事と暮らしぶりを描いた「仕事」篇、磯野家の長男カツオと次女ワカメの思い出を描いた「テスト」篇、タラちゃんの意外な職業が明かされる「屋台」篇が続々オンエアされる予定だ。
08年9月10日からオンエアが始まっている「再会」篇では、アニメそのままの磯野家が再現された家屋で行われる「法事」で4人が再会する様子が映し出される。宮沢りえさん(ワカメ)がお盆を畳の上に置きながら、「二人とも すごい久しぶりじゃない?」と話しかけると、瑛太さん(タラちゃん)が「昔は毎日会ってたんだけどね」と答え、スーツを着た小栗旬さん(イクラちゃん)が「あ!カツオ兄さん!」と言うとグローブとバットを肩に背負った浅野忠信さん(カツオ)が登場。「よう…スーパーカー、駐禁きてるぞ」と小栗さんに言うと、小栗さんが「わっ、やべ」と慌てる。瑛太さんが「えっ、あのスーパーカー、イクラちゃんのなの?」と驚き、最後は「みんな大人になって」と字幕が出るという筋書きだ。
登場人物が「年をとらない」というのがアニメ作品の定石だ。ところが、このCMでは25歳年とったキャラクターが登場するうえ、アニメではなくて実写版で、俳優が演じるというつくりが異例だ。江崎グリコ広報IR部は、このCMが制作されたそもそもの理由について、
「宣伝したい『アーモンド プレミオ』『ディアカカオ』というチョコレートは20~30代を中心とした大人向け商品です。それに対し、サザエさんの4人は20~30代の方たちが子どもの頃に見ていた普遍的なキャラクター。『サザエさん』の25年後で、その年代の方たちとキャラクターがちょうど年が同じくらいになる。それが、共感を持っていただけるのではないかと考えました」
と話す。同社は、「サザエさん」の権利を持つ財団法人長谷川町子美術館にCMの提案を行ったが、「実写版で設定だけ貸してほしい」という提案は初めてで、同美術館も驚いていたという。結局「イメージを壊さない内容」ということで実写版が実現した。