三菱のアコム子会社化で 再編の焦点は武富士とアイフル

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   三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)はアコムに株式公開買い付け(TOB)などを実施し、出資比率を現在の15.77%から40.04%に引き上げて、連結子会社化する。貸金業法改正で厳しい経営環境にある消費者金融業界で銀行主導での再編が加速する流れが鮮明となった。

三菱UFJの信用力をバックに生き残り図る

   三菱UFJはアコムを消費者金融事業の中核に据え、成長が見込めるアジアなどで展開を図る。アコムは三菱UFJの信用力をバックに生き残りを目指す。TOBの買い付け価格は直近の株価を約3割上回る1株4000円。買収総額は1525億円の見通しだ。

   三菱UFJはグループ内の消費者金融事業をアコムに集約し、2001年にアコムと共同設立した消費者金融子会社「DCキャッシュワン」はアコムに統合する。また、三菱UFJはアコムに監査担当役員を派遣し、過剰回収の防止など法令順守態勢を強化する。

   2008年9月8日記者会見したアコムの木下盛好社長は「三菱UFJブランドの安心感で新規顧客の拡大が見込める」、三菱UFJの長岡孝常務は「消費者金融業界は底堅いニーズがある。アコムは生き残りが可能だ」と強調した。創業家出身の木下社長は続投する。

   消費者金融業界は06年末に成立した改正貸金業法で、高収益の源泉だった灰色(グレーゾーン)金利の撤廃や融資額を年収の3分の1以下に限る総量規制が決まり、業績が低迷。大手4社(アコム、プロミス、アイフル、武富士)の融資残高は7月末で4兆7000億円と2年前から1兆円以上も減少し、新規の顧客は半減した。

   これを受けて、業界では合従連衡が活発化している。三井住友FG系のプロミスは07年、三洋信販の完全子会社化に踏み切った。新生銀行は傘下に消費者金融のシンキを持つが、7月には米ゼネラル・エレクトリック(GE)からレイクを買収すると発表した。規模拡大で経営体質を強化する思惑だ。

独立系は抜本的な生き残り策が急務だ

   一方、アコムは08年3月期の最終(当期)利益が業界首位と体質は比較的健全。ただ、危機感は強く、レイクの買収にも名乗りをあげていた。新生銀に競り負けたため、三菱UFJの子会社化にかじを切った模様だ。三菱UFJの信用力をバックに資金調達の金利負担を軽減し、より有利な立場を狙う。

   大手銀行による消費者金融の系列化が進み、今後は独立系の出方が焦点となりそうだ。武富士やアイフルが資金調達する際の金利は既にアコムやプロミスの2倍近くにはね上がっている。三菱UFJのアコム子会社化で経営体力は一段と開きかねず、市場では「独立系は再編も視野に入れた抜本的な生き残り策が急務だ」との見方が強まっている。

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