FDICはペイオフ「資金不足」を宣言
9月15日に経営破たんしたリーマン・ブラザーズをめぐって、ポーグルソン米財務長官が「公的資金の投入を考えたことは一度もなかった」としたように、米金融当局は今後も、基本的には「民間でできることは民間で」という姿勢を貫くとみられる。日本のように、税金で地域の銀行を救済することはないとの見方は少なくない。
しかし、FDICはリストアップした117の問題行のうち、実際に破たん・整理する銀行が、これまでの経験則から13%ほどになるとみていて、こうした破たん処理にかかる資金、つまりペイオフで預金者に払い戻す資金が「不足していることを宣言しています」(石原氏)という。
経営不振の地銀は、「リーマン・ショック」による市場の混乱で、財務内容をさらに悪化させることになる。その地域の経済がしぼんでしまい、しいては米景気の後退感がさらに強まる心配もある。
9月18日には、米貯蓄金融機関大手のワシントン・ミューチュアルが買い手を模索しているとの報道があり、その候補にJPモルガン・チェースやシティグループ、カリフォルニア州のウェルズ・ファーゴに、英国のHSBCホールディングスなどが挙がっている。
みずほ証券の石原氏は、「邦銀が地銀を含めた米銀の買収に乗り出す可能性はあります」という。「リーマン・ショック」は、米金融機関を世界的な再編の渦に巻き込んでいる。