欧州市場睨み 日産、トヨタ1000ccカーに本腰

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   最近のガソリン価格の高騰を受けて、排気量1000ccクラスの小型車に注目が集まっている。欧州日産自動車は、2008年10月2日からパリで開かれるモーターショーを前に、新型「ピクソ」を披露した。09年春には欧州市場にお目見えする。トヨタ自動車の1000cc「iQ」も年内に国内販売を開始、年明けには欧州での販売を開始する。ボディが小さく燃費のよい小型車が見直されている中で、海外でもしのぎを削ることになりそうだ。

日産の世界戦略カー「ピクソ」は欧州向け 

   欧州日産がパリのモーターショーを前にお披露目した「ピクソ」は、「マーチ」よりひと回り小さな小型車で、日産が欧州からインドなどの新興国に向けた販売を視野に入れた世界戦略カーだ。

   コンパクトなボディながら、4人の大人が座れて、「小型車でも、スペースを広くとってある」のが特徴。また、エンジンは新たに開発した1リットル直列3気筒。軽量なボディもあって燃費性能はきわめて高く、排気ガスも少ない。日産は「エコカーといってもいい」と胸を張る。

   ピクソは09年春に欧州での投入が決まっているが、日産が06年6月にスズキと結んだ事業拡大を前提にした業務提携に基づいて、インドのニューデリーにあるスズキの工場を使って生産。ここから欧州へと出荷する。

   しかし、日産は「あくまでもコンセプトカーの段階なので、日本国内での販売はいまのところ予定していません」と話している。「小型車は世界的にニーズが高いので、『ピクソ』はエントリー(入門)カー・モデルとして欧州を中心に力を入れていくことになる」という。

海外でどこまで販売台数を伸ばせるかが勝負

   トヨタ自動車が年内に販売を予定している世界最小クラス、1.0Lの「iQ」は、9月6日に先行試乗会を愛知県犬山市で開催した。全長3メートル未満なのに大人3人に子ども1人の乗用や荷物が置ける室内空間を確保したことや、優れた燃費性能がセールスポイント。3月に開かれたジュネーブ・モーターショーに出展され、話題になった。年明け早々には欧州でも発売する。

   一方こうした動きに、ホンダも無関心ではいられない。ただ、新たなスモールカーの投入は、国内の小型車市場のゆくえを見極めてからになりそうだ。

   海外市場の競争も熾烈。メルセデス・ベンツなどの欧州勢も小型車の開発に力を入れている。日産がピクソを生産するインドでは、地元のタタモーターズが08年1月、わずか10万ルピー(28万円)のファミリーコンパクトカー「Nano」を発表した。エアコンもパワーウインドウもパワーステアリングもない、ただ「走るだけ」のクルマだが、安価なのはなによりも大きな武器になるし、欧州への投入も視野に入れている。

   中国やインドなどの新興国で中間所得者層が出現したことに加えて、欧米でもガソリン価格の高騰と環境問題に敏感な利用者層が小型車に熱い視線を注いでいる。一般に大型車ほど利益率が高く、低価格の小型車は薄利多売といわれるだけに、海外でどこまで販売台数を伸ばせるかが勝負だ。

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