海外でどこまで販売台数を伸ばせるかが勝負
トヨタ自動車が年内に販売を予定している世界最小クラス、1.0Lの「iQ」は、9月6日に先行試乗会を愛知県犬山市で開催した。全長3メートル未満なのに大人3人に子ども1人の乗用や荷物が置ける室内空間を確保したことや、優れた燃費性能がセールスポイント。3月に開かれたジュネーブ・モーターショーに出展され、話題になった。年明け早々には欧州でも発売する。
一方こうした動きに、ホンダも無関心ではいられない。ただ、新たなスモールカーの投入は、国内の小型車市場のゆくえを見極めてからになりそうだ。
海外市場の競争も熾烈。メルセデス・ベンツなどの欧州勢も小型車の開発に力を入れている。日産がピクソを生産するインドでは、地元のタタモーターズが08年1月、わずか10万ルピー(28万円)のファミリーコンパクトカー「Nano」を発表した。エアコンもパワーウインドウもパワーステアリングもない、ただ「走るだけ」のクルマだが、安価なのはなによりも大きな武器になるし、欧州への投入も視野に入れている。
中国やインドなどの新興国で中間所得者層が出現したことに加えて、欧米でもガソリン価格の高騰と環境問題に敏感な利用者層が小型車に熱い視線を注いでいる。一般に大型車ほど利益率が高く、低価格の小型車は薄利多売といわれるだけに、海外でどこまで販売台数を伸ばせるかが勝負だ。