法科大学院6割定員割れ 学生集めに「学費タダ」出現

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   法曹人口の増加を目指して設立された法科大学院(ロースクール)が、苦しい経営を迫られている。ロースクール修了者の司法試験合格率が当初の想定を大幅に下回ったことから、「会社を辞めて『転進』するにはハイリスクローリターン」と、定員割れする学校が続出。中には、事実上の「学費タダ」で学生集めに乗り出した学校も登場した。

青山学院が異例の優遇措置打ち出した背景

日弁連では「3000人計画」の「ペースダウン」を求めている
日弁連では「3000人計画」の「ペースダウン」を求めている

   法曹人口を増やすため、司法試験の合格者数を2010年までに3000人に増やす計画が閣議決定されたのは、2002年3月。この司法制度改革前には毎年1000人程度で推移していた司法試験合格者数を、02年には1200人、04年には1500人と、徐々に増やしていく、というものだ。

   ところが、この計画を受けて06年度から始まった新司法試験では、「修了者のうち7~8割が合格するのでは」と予想されていたのに対して、実際の合格率は48.35%と、意外な低合格率に終わった。

   「司法試験への合格」が法科大学院にとっては至上命題なだけに、この低合格率を背景に入学者数が伸び悩んでいる。また、当初は社会人からの「転進組」も入学者として期待されていたが、「会社を辞めて『転進』するにはハイリスクローリターン」とばかりに、社会人入学者数は4年連続で減少を続けている。

   具体的には、08年度の入試で、全国の法科大学院の志願者数は07年度比12.5%減の3万9555人。全国74校の法科大学院のうち、08年度は07年度比10校増の46校が定員割れしており、「定員割れ率」は実に6割を超えている。

   こんな窮状を受けて、例えば青山学院大学の2年間のコース(法学既習者向け)の募集要項には、異例の文言が登場した。

「入学者には全員、2年間、学費等の全額に相当する奨学金を給付いたします」

という、実質上の「学費無料宣言」だ。新司法試験に受かりそうな成績優秀者を囲いこむ狙いがあるものとみられる。

   ただ、いくら「低合格率」とは言っても、旧司法試験での合格率は数%。制度変更で、相対的に「広き門」になったことは確かだ。新制度で司法試験に合格した司法修習生についても、問題が報告されている。

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