ディスカウントストアは盛況
一方、スーパーなど販売サイドは、主婦らの節約ニーズに対応しようと懸命だ。
イトーヨーカ堂は、東京・足立区の西新井店を業態転換し、同社初のディスカウントストア「ザ・プライス」第1号店として、08年8月29日にオープンさせた。イトーヨーカドーとの違いは、販売価格を1~3割ほど安くした点にある。低価格は、商品数を半分ほどに絞り、代わりに1商品当たりの仕入れを増やすなどして実現した。
また、食料品の売り上げを8割にまで高めた。お金のかかる外食を避けて、手作り料理や惣菜などで済ます「内食」にする人が増えているためだ。通常のディスカウントストアのメインとなる衣料品・住関連品は、購入を控える傾向で苦戦しているため、必要最小限にとどめてある。
「初日は、開店前に700人が並び、終日レジに列ができるようなにぎわいでした。売り上げも、予想より2割増しでしたね。一週間たっても、順調に推移しています」
ヨーカ堂などを抱えるセブン&アイ・ホールディングスの広報センターでは、こう話す。
食料品需要に応えようと、セブン&アイでは、傘下の食品スーパー「ヨークマート」などを2011年までに、全体の3割に当たる約70店を出店する計画だ。広報センターでは、「ディスカウントストアと違って、グレードの高いものまで、幅広く品揃えします。少子高齢化で、量を多く食べるよりも、少ない量でなるべくおいしいものを食べたいというニーズもあります。エリアがかぶらないようにして、業態を使いわけていきたい」としている。
さらに、家庭中心の食生活を豊かにする狙いだ。消費者の節約行動が、外食寄りから転換させるほどのインパクトを流通業界に与えているようだ。