人間に飼われていたサルの可能性が高い
サルの動物園「日本モンキーセンター」(愛知県犬山市)の加藤章園長は、
「野生ではなく、飼われていた可能性が高いと見ています。バナナを食べたという話を聞きましたが、野性のサルは木の葉を主食としていて、バナナやりんごは食べません」
と話す。
さらに、野生は通常、明け方や夕方に行動するので、日中、人目に触れる場所に出てくることは考えられないそうだ。また、毛がふわふわしていて、毛の色が淡いのも気になるという。野生はもっと硬くてごわごわして、色は黒々としている。
届出なしに飼育されていたサルの可能性が強いようだ。
「山で子猿に会い、かわいいからといって連れて帰り、届出さずに飼う人が意外と多いです。ところが4歳くらいになるとサルが言うことを聞かなくなって、山に捨てる人がいます。飼われたサルは山で暮らせず、人里に戻ります。今回のサルは体型と顔つきからして、4〜5歳だと思います。言うことをきかなくなって、捨てられたのではないでしょうか」
野生のサルは間違って都会に出てきても、執拗に人に追いかけられて方向を見失わない限り、自ら山に帰れるという。しかし、飼育されていたサルの場合は、
「無事に捕獲されなければ、交通事故に遭ったり、電車の架線に感電することがあります」
日本猿を許可なく捕獲することは、法律で禁じられている。捕獲する権限があるのは警察だが、加藤園長は、
「瞬間で時速40〜50kmのスピードが出るため、警察が所有する網や犬用捕獲器では捕まえられません。麻酔銃か吹き矢でないと無理でしょう」
と話している。
近い将来、サル捕獲のための大捕り物が展開されそうだ。