「茨城県議居眠り写真」発端? 議会でのブロガー撮影「締め出し」

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   茨城県議会が「議場のセキュリティ確保」を理由に傍聴規則を改正した。これによって、一般人が写真やビデオの撮影をすることが原則できなくなった。背景には、県議会での県議の「居眠り写真」がブログで公開され、批判されるという「騒動」があり、共産党議員団は「情報公開の流れに逆行する」と反発している。もっとも、県議会議長は今回の規則改正について「個人ブログは恣意的に個人を攻撃しやすい。公正さのバランスが必要だ」などとして傍聴規則改正の正当性を主張する。

県議の「居眠り写真」が2008年6月に公開

   茨城県議会の議会運営委員会で2008年9月3日、「議場のセキュリティを確保する」名目で傍聴規則が改正された。

   県議会事務局によれば、改正された傍聴規則では、申告すれば誰でも受けられた写真撮影やビデオ撮影の許可を、報道関係者や議員会派関係者、広報関係者、公共団体の関係者など「公益的見地から必要と認められる者」に限定。ブロガーなどは、原則撮影「不可」となる。さらに議事進行を妨害すると思しき傍聴人については身分証明書の提示を求め、応じない場合には入場禁止にできるようにした。

   茨城県議会をめぐっては、2010年3月開港の茨城空港をテーマにしたブログのなかで、自民党の県議が「睡魔と闘おうともせず、開会宣言と同時に眠り始め、閉会宣言と共に起きた」などとして、この県議の「居眠り写真」が2008年6月に公開された。ブログのなかでは、

「絵に描いたような劣等生ぶり」
「議会中と委員会中の聴講態度は最悪」
「なんという無責任ジジイなのか」

と徹底的に批判。この県議は「居眠り写真」でネット上に知られるようになった。

   ブログでのこうした批判について「議会運営上、見過ごすことができない」などとして、桜井富夫議長が決裁して議院運営委員会に報告、9月8日に施行されることになった。一部の報道では、「居眠り写真」がブログで公開されたことに対する「逆ギレ」などと報じられたが、桜井議長は「特定のブログが規則改正の理由などということはありえない」と主張している。

「情報公開の流れに逆行する」

   ただ、桜井議長はJ-CASTニュースに対し、

「テロの問題などでセキュリティを強化しなくてはいけない時代だ。(規則改正は)県議会を安全に運営することが目的。個人ブログの攻撃については、公人なのだからそれに耐えられなければならないという面もあるが、恣意的に(攻撃を)やりやすい。公正さという面でバランスが必要だ」

とも述べており、個人ブロガーの批判についてある程度の制限が必要だとの見方を示した。

   一方、今回の傍聴規則の改正について、共産党茨城県議会議員団は08年9月3日、地方自治法で定められた「会議傍聴の自由、報道の自由、会議録の公開・閲覧の自由」を挙げて、「情報公開の流れに逆行する」「会議公開の原則を踏みにじる」として反対する声明を発表した。同議員団の大内久美子県議はJ-CASTニュースに対し、「時代遅れで、ネットを問題にするのはおかしい」と話している。

   ネット上の掲示板などでも、今回の規則改正について「権力濫用」「公人が公的な仕事している時を撮影して何が悪いの?」といった批判の声が相次いでおり、波紋を呼んでいる。

   「居眠り写真」を掲載して県議を批判したブロガーは、県議に問題だと言われたことはないとしながらも、

「例の記事を書いたとき、私は批判をするための批判ではなく、前向きに変えるために批判をしようと思いました。もちろん、該当する議員には、それなりの損害を被ることになるのは承知の上です。ただ、それを受け止めるのも、政治家の1つの役目だと確信しています。それが、結果的に後ろ向きに変わってしまったのは、遺憾です」

と述べている。

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