福田首相の突然の辞意表明を受けて、自民党次期総裁選出に向けての動きが着々と進んでいる。だが、候補者として取りざたされるのは、2世・3世といった世襲議員ばかりだ。さらに、福田首相も、安倍前首相も、さらにその前の小泉元首相も、父親が閣僚経験者だ。そもそも、自民党衆院議員の半数以上が世襲で、「政治家が『家業』であるかのような状態が続き、新規参入が妨げられている」との指摘もある。
麻生氏は3世議員で、石原氏が2世議員
「官邸の主」の多くが世襲議員だ
自民党は2008年9月3日、福田首相の後継の党総裁を選ぶ総裁選の日程を、9月10日告示、9月22日投開票とするスケジュールを決めた。立候補には20人の推薦が必要で、現段階では麻生太郎幹事長と与謝野馨経済財政相が出馬を表明している。それ以外にも、石原伸晃・元政調会長や小池百合子・元防衛相が出馬への意欲を見せている。
そのうち、麻生氏は3世議員で、石原氏が2世議員。総裁候補と取りざたされているうちの半分が「世襲」ということになる。ここ20年の首相14人を見ても、父親が国会議員ではない「1世議員」は、竹下登氏、宇野宗佑氏、細川護煕氏(祖父が首相)、村山富市氏、森喜朗氏の5人のみ。その中で、自民党総裁だったのは竹下氏、宇野氏、森氏の3人だ。一方、仮に政権が交代した際には有力な首相候補になる小沢一郎・民主党代表も、2世議員だ。
首相の「出身母体」になる自民党の「世襲率」も高い。上田哲・元衆院議員などが運営する「世論力テレビ」の調べによると、05年の郵政解散前の段階で、自民党が衆議院に持っていた議席は244。そのうち、世襲議員の議席数は126なので、世襲率は51.6%だ。実に過半数が世襲だということになる。他の党の衆院での世襲率をみると、民主党が27.3%、共産党が22.2%、公明党が8.8%なので、自民党の世襲率の高さが際立っている。
朝日新聞政治部出身で、日本インターネット新聞社社長の竹内謙さんは、「高世襲率」の背景について
「今の公職選挙法が悪い」
と、法制度の不備を批判する。