野村総研 上級コンサルタント 山内朗氏インタビュー
原油価格は長期的に見ると必ず上昇する

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原油から、天然ガスや石炭へのシフトが進む

―― 他のエネルギー資源が原油に代わる可能性があるのでしょうか。

山内 今後、長期的に見て一次エネルギーの構成比が変わることは間違いありません。在来型(原油)と非在来型(代替エネルギー)というよりも、原油の代わりに、まず天然ガスや石炭を使っていくことになるでしょう。天然ガスは40年から60年は持ちますし、まだ未開発のものもあります。石炭はCO2排出単位が大きいことから敬遠されそうですが、その埋蔵量は石炭の品位の問題があっても、まだ100年持ちます。

 非在来型では、オイルサンドやオイルシェールへの商社による投資がはじまっています。なかでもオイルサンドは実用レベルになっていて、主にカナダやオーストラリアで開発が進められています。メタンハイトレード(凍結した状態のメタンで、永久凍土地帯に多く存在する)といった資源も埋蔵量が膨大であることはわかっていても、とにかく開発には多くの資金が必要で、時間がかかります。

 また、太陽光などの自然エネルギーは欧州の導入促進政策のおかげで大流行ですが、世界的需給への影響という観点からはインパクトはあまりありません。むしろ、そうした自然エネルギーの流行によって、既存の電力供給システムの効率を落とすようなことがないように適切な導入をいかに図っていくかが問題となります。一瞬のエネルギーは大きいのに、長期的に安定供給できないのが自然エネルギーの宿命です。既存の電力供給インフラとうまくマッチングできなければ、社会全体として非効率になってしまいますから、最適なシステムが必要になります。ただ、価格が下がれば普及する可能性がありますし、普及が進めば経済的に原油の値上げも抑えられるかもしれません。

―― 代替エネルギーが実用化されれば、原油価格は下がりますか。

山内 炭酸ガスを出さないクリーンエネルギーとして原子力は確実に伸びていきます。しかし、代替エネルギーの中では、なんと言っても石炭。これにうまくシフトすることができれば、原油価格もある程度は抑えられると思います。ただ、石炭も燃やせばCO2が出ますから、クリーンエネルギーに転換する技術が必要になります。石炭の埋蔵量は豊富ですから、ガス化利用、液化利用、CO2を削減する技術など、日本がクリーンテクノロジーを磨き、グローバルに付加価値を提供していくことはますます重要になっていくでしょう。

 いずれにしても長期的に見れば、原油が枯渇性のある資源であることには変わりなく、代替エネルギーの息の長い開発努力、安定確保は重要な課題といえます。
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