毎日新聞英語版サイト「毎日デイリーニューズ(Mainichi Daily News)」がリニューアルして再出発した。「低俗すぎる」と批判された変態的な記事が、同サイトや英字紙で、多数掲載されていたことについて、毎日新聞社は改めて謝罪し、「みなさまからの声を重く受け止め、今後、こうした事態を二度と引き起こすことのないよう、全力を尽くします」としている。ただ、インターネット上での批判はいまだに収束しておらず、「広告ゼロ」という厳しい状況下での再スタートとなった。
題字などのデザインも一新、アドバイザリーグループ設置
リニューアルして再出発した「Mainichi Daily News」
毎日新聞社は2008年9月1日、英語版サイト「毎日デイリーニューズ」を再開した。題字などのデザインも一新し、毎日新聞の紙面に掲載された記事の翻訳を中心とするなど、「刷新」をアピールしている。また、元カナダ大使の沼田貞昭氏、東京経済大学客員教授のアンドリュー・ホルバート氏、フリーライターのスーザン・ミリントン氏によるアドバイザリーグループを発足させ、同グループの意見を定期的にサイト上で紹介するという。同社は、
「報道機関としてあってはならない読者の信頼を裏切る行為であり、多くの方々にご迷惑をおかけしたことをあらためて、心よりおわびします。誠に申し訳ありませんでした」
と過去に配信した記事について改めて謝罪している。
同サイトをめぐっては、過去の「WaiWai」というコーナーで、「六本木のレストランで豚を獣姦し、その後食べた」「成績を上げるために勉強前に息子の性処理をする母親がいる」といった内容の記事を過去に配信し、2008年6月下旬から「低俗すぎる」などといった批判が同社に相次いでいた。08年6月27日には、当時常務デジタルメディア担当だった朝比奈豊社長を役員報酬10%(1か月)返上、記事を担当していた外国人記者を3か月の懲戒休職とする処分を発表している。08年7月20日には、英語版サイトが不適切だったとする謝罪文のほか検証記事も毎日新聞紙面や日本語ニュースサイト「毎日jp」に掲載した。
「毎日jp」はほとんど自社広告という苦しい状況
さらに、08年7月20日の検証記事では大きく触れられていなかった、「毎日デイリーニューズ」の英字紙時代にも不適切な記事が掲載されていた問題が発覚したことで、ネット上での批判的な意見は未だに収束する気配は無い。同社が2008年9月1日にウェブサイトに掲載した「改めておわびと決意」と題されたコメントでは、この点についても「出直しにあたり、1989年10月から英字紙に、01年4月からウェブサイト上に掲載していたコラム『WaiWai』について改めておわびします」としているほか、
「7月20日朝刊と毎日新聞のホームページ、毎日デイリーニューズにおわび、検証記事を掲載しましたが、その後も多くの方からご批判、お叱りをいただいています。みなさまからの声を重く受け止め、今後、こうした事態を二度と引き起こすことのないよう、全力を尽くします」
と述べている。
この問題が明るみに出てから、インターネット上では、「日本を貶めた」などとして毎日新聞を批判する書き込みが掲示板やブログなどで「燃え上がり」、いまだに続いている。また、同社のニュースサイトに広告を出すスポンサーに、広告自粛を促すための電話などでの問い合わせや抗議も相次いだ。こうしたこともあり、現在、本体ともいえる「毎日jp」に掲載されている広告のほとんどは自社広告で、同社のデジタル事業は厳しい状況に追い込まれているようだ。「毎日デイリーニューズ」の場合も2008年9月1日現在で、広告は1つも掲載されていない。