値上げ松屋に「据え置き」吉野家・すき家  「牛丼戦争」決め手は何か

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   松屋が値上げを発表、牛丼(並盛)の価格が吉野家の牛丼と同じ380円になる。牛丼チェーンでは、吉野家、松屋、すき家の「三つ巴」の戦いが展開されているが、かねてから「値上げはしない」とする吉野家に加え、すき家も「予定はない」としている。この「牛丼戦争」決め手は何なのか。

「同じ価格で牛丼に味噌汁がつく」とPR

吉野家、松屋、すき家の「牛丼戦争」の行方は?
吉野家、松屋、すき家の「牛丼戦争」の行方は?

   牛丼チェーン・松屋を展開する松屋フーズは2008年8月27日、「牛めし」など17品目の価格を08年9月1日15時から20~40円値上げすると発表した。同社によれば、昨今の原油価格の高騰や、牛肉・豚肉などの原材料価格の高騰が主な理由だ。

   主力商品「牛めし」(並盛)は350円から380円に、豚めしは並盛・大盛ともに20円値上げする。カレー「カレギュウ」は580円から610円に、「牛めし」「豚めし」(並盛)のセットなどのセットメニューについても20~30円値上げ。「牛めし」(大盛)については480円に据え置く。

   大手牛丼チェーンでは08年に入って初めての値上げ。しかも、吉野家の牛丼(並盛)と松屋の「牛めし」(並盛)が同じ380円で並ぶことになる。吉野家に比べて低価格が強みだったはずの松屋に、消費者離れが起きないか心配されるところだ。

   これについて、松屋フーズ広報・IRグループの担当者はJ-CASTニュースに対し、

「(松屋では)同じ商品に味噌汁がついて(吉野家と)同じ値段。競争力はあると思っています。みなさん値段のことばかり言いますが、そういった視点もあっていいと思うのですが」

と述べている。吉野家の牛丼では味噌汁はつかないが、松屋では同じ価格で牛丼に味噌汁がついてくるため、消費者にとっての魅力はまだある、ということらしい。

   外食チェーン関係者は「牛肉の価格は数年前に比べ2倍ほど上がっている」と述べており、牛丼チェーンが厳しい状況に置かれていることは確かだ。しかし、吉野家はかねてから「値上げをしない」と公言しており、「週刊ダイヤモンド」7月26日号のなかで吉野家ホールディングス・安部修仁社長は、「今なら値上げをしたとことで、世間の風当たりは強くないかもしれないが吉野家は値上げしません」「値上げによって、短期的な旨みを得ることが、未来の企業体質を弱める結果になりかねない」と話している。

「すき家」も「値上げの予定はない」

   一方、かたちとしては吉野家・松屋に比べて30円安い350円で牛丼を販売するのは「すき家」。「すき家」を展開するゼンショー・グループ経営本部広報部も「値上げの予定はない」と話す。

「コスト吸収努力をしていますし、お客さんに転嫁するというのは最後の手段です。お客さんは350円という認識で来ていただいていますから。ただ、これを機に、価格よりも(同社牛丼の)安心感や安全性を見ていただきたいですね」

   ただ、食品値上げが相次ぐなか、消費者が価格に相当敏感になっている現実もある。外食産業総合調査研究センターの堀田宗徳主任研究員は「牛丼チェーンがこれからどうなるかはまだわからない」としたうえで、

「原材料の価格高騰でメニュー価格の引き上げるところが出てきているが、値上げで客数が減るのが大きな懸念材料。企業努力で何とかしているところもあるが、やむにやまれずメニュー価格を上げざるを得ない。消費マインドは冷え切ってきており、牛丼業界のみならず外食産業をめぐる環境が厳しくなっているのは確かだ」

と指摘している。

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