「賃金低い、出世しない」 「工学部離れ」で志願者4割減

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東大工学部から金融・証券就職が激増

   工学部のうち、特に、電気・電子系の人気が落ちているようだ。

   学校基本調査によると、2008年度入試で、電気通信学部の志願者数は、5年前より5%減の3968人。日経ビジネスの08年8月19日付サイト記事では、東大工学部の3年次における進学振り分けで、電気・電子系が5年連続で「底割れ」したと伝えている。07年度の進振りでは、電気・電子系3コースのうち2コースで定員に達しなかったというのだ。

   その背景として、半導体やディスプレーの開発で韓国に遅れを取るなど、電気系産業の厳しい状況が挙げられている。前出の宮田教授は、「(株価暴落の)ソニーショックで始まりました。情報システム系もそうですが、仕事がきついのに給料が安く企業に魅力がないのが原因でしょう」と分析する。

   とはいえ、電気・電子系の技術は、自動車産業や重工業でも必要とされるようになっている。「車は今や、コンピューターのようなものだからです。重工業でも、飛行機の開発が始まっています」と宮田教授。

   ところが、新技術開発を担う大学院でも、志願者が減っているというのだ。日経ビジネスの8月26日付サイト記事によると、京大工学部では、博士課程の定員200人に、京大生は120人ほどしか集まらず、留学生を入れて埋めているという。その背景に、経済的なメリットが少ないことがあるとしている。

   宮田教授によると、こうした状況があって、東大でも工学部から金融・証券の会社に就職する学生が増えている。「私の研究室でも、10年以上前は20~30%に過ぎなかったのが、今や100%にもなるんですよ」。

   「まず、産業界を改革しないといけません。そうしないと、賃金がすぐ倍になる外資系に、いい人材が行ってしまいます」と宮田教授。さらに、船舶工学系の4専攻を改編して東大でシステム創成学科を立ち上げた経験から、「時代に合わせて、大学も会社と同じように変わらなければいけません」と話している。

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