「安近短」な熱海が「復活」 さびれた温泉街イメージを払拭

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作家・森村さんの書き下ろし小説を宿泊客に配布

   市が発表している宿泊施設数の推移を見ても、02年には422軒あったのが、年々10軒ずつ減り続けていて06年は361件だった。あわせて宿泊客も減っていて、07年度は前年に比べて10万人以上も減り、302万6311人だった。

   危機的状況に直面して、最近ではファミリー客取り込みのほかにも、いろいろ集客策を打ち出している。温泉や海水浴のイメージが強い同市だが、実は文化人にゆかりのある地だとはあまり知られていない。そこをアピールしようという、こんなユニークな試みを数年前から行っている。例えば、熱海にも家を持つ作家・森村誠一さんが特別に書き下ろした小説を、市内に宿泊した人だけに毎年秋に配布している。本格的なサスペンスで、それを目当てに訪れる人もいるという。新しいイベントも増やしていく。これまで秋の定番イベントがなかったが、この9月からは新たに、釣り大会「フィッシングカーニバル」を行う。

   ところで、フジフイルムが08年春から放送しているテレビCMでは、熱海旅行がテーマになっている。「TOKIO」の長瀬智也さん扮する写真店の店長が、旅の写真をまとめた「フォトブック」(写真集)を見て、「なんだか、すごく楽しかったような気がしてきたぞ、熱海!」と振り返る。同社広報は熱海を選んだ理由について、「近くて、海や山があっていろいろ楽しめる場所というと、まず熱海が浮かびました。視聴者にも共感してもらえるのではないかと思います」と話す。実際、視聴者から、「同じ場所に行って写真を撮りたいので、詳しく教えてほしい」などといった問い合わせがいくつもあった。今、熱海が再び注目されている。

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