市民記者によるニュースサイト「オーマイニュース」が2008年9月1日で大幅に衣替えする。サイト名称も「Oh! MyLife(http://www.ohmylife.jp/)」に変更する。市民記者制度は一応維持されるが、商品やサービスの体験記事を中心にして、「広告が取りやすくなる」ことを狙っている。投稿する対象のジャンルも大幅に見直される。
「身の回りのこと」つづった記事徐々に増える
小宮紳一社長(左)と平野日出木編集長(右)
2008年7月に就任したばかりの小宮紳一社長と、創刊直後から携わっている平野日出木編集長に今後の見通しを聞いた。
オーマイニュースは06年8月28日、「市民みんなが記者だ」をキャッチフレーズにオープン。現在では約4600人が市民記者として登録しているが、ページビュー(PV)は伸び悩み、商業的には失敗だった。平野編集長は、
「元々『マイニュース』ということで、身近なものをニュースにする、というところからスタートした。創刊当初は、読者も市民記者も、全然編集部の考えていることを理解してくれなかった。市民記者が書いてきた原稿は、新聞やニュースを見たものの『感想文』的なものが多かった」
と振り返る一方、小宮社長も
「政治経済、といっても企業様は広告を出しにくい」
と、「感想文」では商業的に成功しない、との見方を示す。
一方、「市民記者は最大の財産」(平野編集長)と、一部で出ている「『市民記者』という制度自体が失敗したのではないか」との見方には反論。編集部が当初目指してきたものに近い「身の回りのこと」をつづった記事が、徐々に増えてきているのだという。
「07年ごろから、身の回りのことや、旬の話題を書いた記事が増えてきた」(平野編集長)
「記事ごとのページビューを見ると、商品やサービスの体験記事が、非常に人気がある。原稿料を支払う関係で、銀行口座まで登録していただいており『身元のはっきりした方』による情報発信が行われる、というのが大きな特徴」(小宮社長)
「マネー」「IT・家電・モバイル」「住まい・生活」など16分野
この特性を生かしつつ、9月1日、サイトのリニューアルが行われる。新サイトでは、投稿対象のカテゴリーを明確化して、投稿してもらいやすくする。まずは「マネー」のカテゴリーから記事の募集を進めており、順次「IT・家電・モバイル」「住まい・生活」などの16分野に拡大していく。「消費者視点」の体験レポートなどを重視する一方で、編集部から原稿依頼するなどして「専門家視点」の記事も掲載していくという。
同時に、小宮社長は
「もっと読まれる、支持されるメディアにならないといけない」
とも強調。「カテゴリーを明確化したことで広告が取りやすくなる」ということを念頭に、タイアップ企画とバナー広告の二本柱で黒字化を目指したい考えだ。社員についても、
「ビジネスモデルを見直すので、必要な人員についてもゼロベースで見直し、検討している。すでに採用活動も進めている。皆さんに体験レポートを送ってもらう、というのは(これまでの社員が行っていたような)記者活動とは別の資質が必要」(小宮社長)
として、大幅に入れ替わっていることを明らかにした。
また、「本家」でもある韓国のオーマイニュースとの関係については、小宮社長が創業者の呉連鎬(オ・ヨンホ)氏と会談したばかりであることを明らかにした。「市民みんなが記者だ」というオーマイニュースの当初の理念はリニューアル後も変わらない、とした上で、
「2年間やってみて、日本と韓国では読者の嗜好が違うことに気づいた。日本(のサイト)は、日本の読者が興味がある方向に変えていこう、ということでアグリー(合意)している。体験レポートなどが喜ばれる、ということは韓国側も認めている」
と、韓国流を「直輸入」したことが日本での不振の原因であることを示唆した。また、オーマイニュースの出資比率(韓国オーマイニュース7割、ソフトバンク3割)は設立当初から変わっておらず、変更の予定もないという。