FXブームが再来 デイトレーダーが急増中

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   サブプライム問題の影響で2007年秋や08年春の2度にわたって、急激な円高ドル安になったことで個人投資家の損失が続出、ブームが去ったかに思われていた外国為替証拠金取引(FX)が「復活」してきた。日本銀行によると、2008年第1四半期のFX取引高(買いと売りの合計)は230兆円で、06年第1四半期と比べて4倍に膨らんでいて、この1年間でも倍増しているという。また、矢野経済研究所は2009年3月末の市場規模(証拠金残高の総額)を9060億円とみている。主婦やサラリーマンなどの個人投資家が増加している一方で、FXでも1日に何度も売買するデイトレーダーが急増している。

新規参入、円安、広告宣伝で口座数90%増

FX(外国為替証拠金取引)に再び注目が集まっている
FX(外国為替証拠金取引)に再び注目が集まっている

   矢野経済研究所が128のFX業者を対象にした調査によると、2008年3月末の市場規模は6964億2400百万円。口座数は前年比91.3%増の123万口座だった。

   07年に同社が行った調査時の、08年3月末の市場規模の予測値は8314億円だったので、「伸びた」という感触はあまりなかった。一方、口座数については、手数料の無料化やセミナーの実施、キャンペーン展開による開拓といった広告宣伝の強化などが功を奏して大幅に増加した。ただ、「最近は複数のFX業者に口座を開設する投資家が増えている」(NTTスマートトレード)という。

   「復活」の要因は、今年に入ってソニー銀行や楽天FXなどの新規参入業者が相次いでいること、また4月以降の緩やかな円安基調と、手数料の無料化やレバレッジの多様化などのサービス面の差別化競争が活発になってきたことが顧客獲得につながっていて、矢野経済研究所では2009年3月末の市場規模を約30%増の9060億円、口座数は約40%増の179万口座に達し、過去最高になるとみている。

外貨預金がわりに取引するデイトレード急増

   FXが好調な背景には、株価の低迷や低金利があるといわれるが、そればかりではない。最近はFX初心者を中心に、「レバレッジ(手持ち資金で何倍のお金を動かせるか)が1倍」という、ほとんど外貨預金と変わらないリスクでFX投資ができる商品を足がかりに取引を広げていく投資家が増えている。

   ポイントは手数料。銀行の外貨預金では往復2円程度の手数料がかかるうえ、流通量の少ない通貨の場合には往復8円もの手数料をとられる。少額な取引でも大口取引でも銀行のコストが変わらないために、銀行が手数料を高めに設定しているためだ。為替レートの変更が1日1回だったり、取引時間が銀行の営業時間にしばられることも、投資家は嫌っている。

   「レバレッジ1倍」が外貨預金の代替になるとは言いすぎだが、FXのきっかけ商品としてはいいようだ。

   取引手数料の無料化は、デイトレーダー急増の原因でもある。NTTのFX業者、NTTスマートトレードは最近の投資家動向について、「円安基調になってきたが、市場がまだまだ不安定なので様子を見ながら慎重にやりたいという思いが強い」とみている。「潤沢に預託金を入れてあるが、実質使っている証拠金はレバレッジ1倍という投資家が少なくない」うえ、1日1日持ち越さず、その日のうちに利益を確定、あるいは損切りしてしまうデイトレーダーは、そんな投資家心理を映している。

   取引手数料の引き下げや無料化によって、キャピタルゲインを狙う短期売買にかかるコストが低下、それによってデイトレーダーの存在が顕在化してきたわけだ。

   8月27日に日銀が発表した「本邦外国為替証拠金取引の最近の動向」によれば、米ドルに偏っていた取引通貨も高金利通貨へのシフトが起こり、豪ドルやNZドル、南ア・ランドなどの人気が高まっていると指摘。また投資手法も「円売り、ドル買い」が主体ではあるが、「逆張り」取引から入る投資家も増えてきたと、「変化」が表れてきた。

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