利上げは09年度後半まで困難? 日銀、景気判断「停滞」に下方修正

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   日銀は2008年8月18、19日に開いた金融政策決定会合で足元の景気判断を「停滞」に下方修正した。「停滞」の表現を使ったのは、金融不安やデフレで景気が後退した1998年以来10年ぶり。政府と同様に今回の景気後退入りを事実上認めた形で、日銀が凍結している利上げは一段と遠のきそうだ。

「景気の落ち込みは大きくない」との認識

   日銀は08年7月、景気を「さらに減速している」と判断していたが、2カ月連続で判断を引き下げた。4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率がマイナスに陥ったことなどを受けたものだ。会見した白川方明総裁は「輸出が鈍化し、設備投資は横ばい。個人消費も弱い」と外需にも内需にも景気のけん引役が見当たらない日本経済の実情を説明した。

   日銀は4月時点で2008年度後半の回復を描いていたが、7月には08年度の実質成長率見通しを下方修正した。さらに今回の判断で「停滞」に下方修正した分だけ、回復時期は一段とずれ込む恐れが強まっている。白川総裁も「回復時期は多少先ずれする」と日銀の想定した回復シナリオの遅れを認めた。

   日銀は、回復シナリオ自体は基本的に崩していない。98年の日銀の景気判断は「停滞」から「悪化」へと深刻化したが、白川総裁は、98年当時に比べ、「今回は設備や雇用、債務の過剰を抱えていない」と違いを指摘。「景気の落ち込みは大きくない」との認識を示し、「当面停滞を続けるが、次第に緩やかな成長に回復する」と述べた。

   だが、日銀は「国際商品市況(の高騰)が一服し、海外経済が減速局面を脱する」ことを回復の前提に据えており、海外頼みのスタンスには危うさがつきまとう。

   最近の原油価格の下落は好材料ではあるが、高水準であることに変わりない。白川総裁も「下落基調が定着するかは不透明だ」と警戒を緩めていない。海外経済は米国の金融不安の収束にめどが立っていないことに加え欧州が4~6月期にマイナス成長に陥った。

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