番号持ち運び制(ナンバーポータビリティ制)で初の転出超過になるなど芳しい話題がないKDDI(au)の携帯電話。「端末の競争力の低下」打開のため、「よしもとケータイ」を投入するが、インターネット上では発売前からなんとも評判が悪いのである。
10~30代の女性がコアなターゲット
KDDIは2008年10月下旬に吉本興業の芸人たちがプロデュースする「よしもとケータイ」を投入する。すでに発売している「フルチェンケータイre」をベースに、よしもと芸人の千原ジュニアさんが外装デザイン、宮川大輔さんが待受画面、アラーム音、着信音、ケンドーコバヤシさんがメニュー画面、麒麟のコンビがメール着信音などをプロデュースするというもの。同社によれば、KDDI側から吉本興業側に提案した企画という。
KDDI広報部はJ-CASTニュースに対して「よしもとケータイ」の狙いについて、
「いま人気の芸人さんを起用することで(端末)販売を上乗せするということがあります。吉本関連グッズを購入される10~30代の女性をコアなターゲットとしていますが、ファン層が幅広いので、(よしもとケータイが)もっと広がることも考えています」
と説明している。
電気通信事業者協会(TCA)が2008年8月7日に発表した08年7月の携帯電話・PHS契約数によると、新規契約数から解約数を差し引いた純増数は、ソフトバンクモバイルが21万5400件で15か月連続の首位。次いでNTTドコモが9万4200件、イー・モバイルが6万5000件で、KDDI(au)は2か月連続で4社のなかで最下位の1万7000件。番号持ち運び制(ナンバーポータビリティ制)による契約増減も初のマイナスになる1200件減だった。
ソフトバンクが発売した「iPhone」人気の影響もあったが、au端末の競争力が低下していることを同社が認めるなど、まさに「迷走中」の状態。携帯電話の専門家からも「auがパッとしないと思うユーザーも多いはず」との指摘もある。
「こんな企画が通るなんて信じられない!」
そんな中で、起死回生のコラボレーション、と行きたいところだが、今のところ評判はあまり芳しくない。auの「よしもとケータイ」の販売は、ネット上ではやくも話題になり、掲示板などでは、
「携帯に何を求めているのか全くわかってない 芸人が携帯プロデュースして、だから何なの?」
「迷走から逆走」
「AU、ずれまくってるな」
「なんでカッコ悪さが売りの芸人にプロデュースさせるんだ?こんな企画が通るなんて信じられない!」
といった辛らつな意見が相次いでいる状態だ。
同社は、吉本の芸人たちが実際に「よしもとケータイ」を企画する様子を収録したWeb番組「ザ・セミドキュメンタリー『オレ達の着メロは鳴り止まない!』」を8月21日から配信しているほか、ブログまで開設している。ケータイサイトのブログでは「すごい楽しみにしてまーす」「頑張ってください!」といったファンからの応援メッセージも寄せられているが、「なぜauなのでしょう。私SoftBankなので・・・」「DoCoMoもお願いします」「私はDOCOMOやからメチャクチャショックです」といった「ファンだけどそもそもauユーザーではなかった」といった「寂しい」コメントが多く寄せられてしまっている。
KDDI広報部によれば、「フルチェンケータイre」の出荷台数は3000台程度といい、
「広くあまねくというより、いろんなコラボレーションを他の企業さんとも考えている。ご期待いただきたい」
としている。