中央日報「中国内の反韓感情は危険水準」
もっとも、韓国も「防戦一方」という訳ではない。8月24日に行われた閉会式の演出で映し出された地図に「Sea of Japan(日本海)」との記載があったことを問題視したのだ。韓国では、日本海に該当する区域を「East Sea(東海、トンヘ)」と表記するように国際社会に求めており、なかばそれを無視された形だ。この映像は、国際映像で全世界に放映されただけあって影響が大きく、韓国のネット上では「中国政府が日本政府の肩を持っているのでは」といった声が噴出し、韓国メディアも、中国側の対応を批判的に伝えている。韓国外務省のスポークスマンも8月25日、記者会見で
「『日本海』という表記が誤っていることについて、五輪実行委員会に伝える予定だ。北京の韓国大使館は、すでに関連した措置を行っているものと理解している」
と述べ、映像への不快感を表明した。
もっとも、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と中国の胡錦濤国家主席は8月25日には、ソウルで首脳会談を行ったが、特にこの問題が話題になった様子はない。両首脳は終始笑顔で、議会や安全保障の分野で交流を強化することで合意している。
今のところ、五輪をめぐる中韓のギクシャクは、ネット上で表面化するにとどまっているようにも見えるが、中央日報は8月26日には、「中国内の反韓感情は危険水準」とのコラムを掲載。相当、中国の動向を警戒していることがうかがえる。
五輪が始まる前の段階でも、中国で誕生したはずの「漢字」や「孔子」までも韓国起源だとする「怪情報」が中国のネット上をかけめぐり、中国人を激怒させていた、という経緯もあり、今後も「ネット戦争」の動向を注視する必要がありそうだ。