2か月間の交渉でようやく周知不徹底を認める
さらに、今回の契約変更トラブルで国民生活センターが問題にするのは、予告なしの変更をうたった規約の存在だ。
「私どもは、消費者に不利益になることを告知せずにいいんですか、と言いました。しかし、ソフトバンク側は、問題はないとの回答で、見解の相違があります」
NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が出した質問状でも、ソフトバンク側は、回答で「議論のあるところ」と認めながらも、同様に予告なしの変更規約を根拠に挙げている。
消費者契約法の第10条では、消費者の権利を不当に制限する契約は無効と定めている。しかし、国民生活センターによると、契約変更トラブルは、個別案件ごとに裁判で決着していくしかないという。予告なしの変更規約は、クレジットカードなどによく見られるとしている。
国民生活センターによると、ソフトバンクは、同センターとの交渉で当初、プレスリリースで消費者に周知したので問題ない、と回答した。さらに、08年6月20日に改善の要望書を送付し、計2か月間の交渉でようやく周知不徹底を認めた。そして、スーパー安心パックに2割負担を適用した07年11月から08年7月までの外装交換については、契約者には返金することを明らかにした。また、8~10月を再周知期間としてその間の外装交換は無料で行う、などとしている。
ところで、ソフトバンクは、なぜ一方的に契約変更をしたのか。
京都消費者契約ネットワークへの回答では、営利目的による携帯の譲渡で外装交換が急増しており、過大な費用負担を防止するためと説明している。譲渡の場合、「破損した」として交換を求める例が多い、ということらしい。ただ、携帯譲渡が増えていることのデータを求めると、ソフトバンクの広報担当者は、「件数は増えていますが、数は分かりません。営利の譲渡は、確かにネットオークションぐらいでしょう」と説明するだけだった。