産婦人科医「無罪判決」 「大野病院事件」はなぜ注目されたのか

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事件きっかけに「産科離れ」が起きる

   この事件をきっかけに、産科医を目指す若者が減ったり、小さな病院では分娩の扱いをやめたりといった全国的な「産科離れ」が起きた。厚生労働省が08年3月25日に発表した産科医療機関調査によると、1月以降に分娩を休止・制限した医療機関は77か所にも上る。施設だけでなく、産婦人科医の数も減っている。04年は2万326人だったのが、06年12月31日時点では1万9184人で、千人近くも減った。医師が逮捕、起訴されたのとほぼ同時期に減っていて、影響は大きかったようだ。

   逮捕後、医師らの反発は大きくなる一方だったが、それによって第三者の立場で死因を究明する国の新組織「医療安全調査委員会」(仮称)の論議を促すことになった。厚生労働省では2011年のスタートを目指し、08年6月に設置法案の大綱案を公表した。9月の臨時国会に提出する予定だ。患者が死亡して医療事故の疑いがある場合、警察に代わって医療機関からの届け出を受け付ける。医師や法律家らでつくる調査チームが関係者からの聞き取りや調査を行い、報告書を作成する。その際に標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因する死亡だった場合には、新組織が警察に通知する仕組みだ。一方で、医療事故として委員会に届け出る基準や、調査チームが警察に通知する際の基準をどう明確にするかという課題は残されていて、業界内で議論が加速しそうだ。

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