五輪開催でマイナス面がクローズアップ?
上海株下落の引き金は、中国政府による「引き締め策」とされる。07年10月までは北京五輪開催前の建設ラッシュなどで景気も上昇、株価にも勢いがあって、急激に6000ポイントに乗った。「引き締め策」はそんな株式市場を一たん冷やすための措置だったが、これが予想以上に効いた。
さらには08年上期の主要経済指標が予想以上に悪かった。「中国政府は景気対策こそ打ち出したが、株価対策には手をつけなかった。投資家はそれに落胆し、先行きの懸念材料にもなった」とみている。
ある証券マンは「五輪バブルだったとはいえ、6割の下落。調整局面なんていうものではない」と嘆く。2ケタの経済成長が見込めなくなったことや四川大地震の影響も小さくないが、これらに加えて「五輪で海外メディアへの露出が増えたことで、かえって中国が抱えている諸問題がつまびらかになってしまったことがマイナス面に働いたのでは」と推測する。
中国景気の後退、また中国政府などが保有している株式が近く市場に放出されるとの観測もあって、上海株はまだ下がるとの見方が根強い。不安が渦巻くなかで、2010年の上海万博はまだ遠い先の話。株価浮上の起爆剤になるような材料ではないようだ。