首都圏からのバスツアー客が11万人
いわば、「副業である煎餅が本業の鉄道の赤字を穴埋めして、なんとか延命している」という構図だが、まだまだ課題も多いようだ。銚子電鉄は車両設備が全般的に老朽化しており、08年度中に1編成を新しい車両に更新しないといけないのだという。この作業には、およそ8000万円がかかると見られており、利益の大半が吹き飛ぶ形だ。それ以外にも、安全確保のための工事を多数発注する必要があり、多額の費用負担が見込まれている。
このように、危機的な状況に変わりはないのが実際のところだが、銚子電鉄では、今後の活路を「観光鉄道化」に見出したい考えだ。
前出の07年度の乗客数約83万人のうち、実は首都圏からのバスツアー客が11万人に達しているのだ。ツアー以外の観光客を考えると、乗客のうちのかなりの割合を観光客が占めるとみられる。さらに、定期券の利用客が減少を続けていることから、「地域の足」として伸びる余地は少ないと見ている模様だ。
銚子電鉄では、
「鉄道があってこそのぬれ煎餅。鉄道に乗っていただいて、喜んで帰っていただければ、と思っています」
と、「稼ぎ頭」である煎餅と本業の鉄道とは、切っても切れない観光資源としてアピールしていきたい考えだ。