ジャニーズにひれ伏すキー局捨て ケータイとネットで勝負する
芸能リポーター梨元勝さんに聞く

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ジャニーズ取り上げると、番組プロデューサーらから……

――梨元さんは、なぜキー局ワイドショーのレギュラーでなくなったんですか?

梨元   キー局は、もう情けない。ジャニーズ事務所のことを取り上げると、番組のプロデューサーらから「やばい」となります。だから、弱いところから攻めてるんですよ。私がワイドショーをやり始めたとき、芸能人に直撃するためどこへでも行こうという精神がありました。雑誌ジャーナリズム出身だったからです。人間を追いかける雑誌方式で、テレビを活性化するのが狙いでした。ですから、自主規制するとすれば、自分がやってることじゃない、見ている側も裏切ってしまうと思いました。取材する側が、真実を伝えるという精神から逸脱してしまうんですね。だから、キー局で時々出演するのは、もうTBSの「サンデージャポン」ぐらいです。

――確かに、ジャニーズへの対応に妥協できず、たびたびテレビ局と衝突していますね。やはりテレビ局は、ダメになったのですか。

梨元   キー局が頼んでいる制作会社の孫請けの人は、取材のことが分かっていないんですよ。昔は、ケンカするほど影響を受けたディレクターがいました。しかし、辞めるか飛ばされるかして、もういません。これじゃ、こっちが触発されませんよ。ディレクターらが、机に足を上げているようじゃダメなんです。テレビのコメンテーターも意味がありません。「離婚ですか? 愛がなくなったからじゃないですか」なんて、バカじゃないでしょうか。テレビがよく頼る記者会見は、スクープされて仕方ないからやるのです。本来は、最後の手段みたいなもの。ワイドショーは一回、解体しなさいということですよ。

――それでテレビに見切りをつけ、ケータイサイトに手を出したわけですね。

梨元   まず梨元チャンネルという取材母体を作って、ケータイとネットでやる。ほかのメディアは、向こうがほしいならどうぞということです。それが知恵です。加護さんの世代は、ケータイが分かりやすく、そこからの発信は説得力があります。彼女へのインタビューも、ケータイサイトのアクセス増を肌で感じました。情報はみなネットで探してきており、もはやテレビを見ろという時代じゃありません。加護さんもネットで、私のホームページを見ていました。彼女のインタビューを載せたオーマイニュースの動画は、アクセスが多すぎてパンクしています。今や動画の時代でもあるわけです。

――とすると、テレビはもう役割を終えたということですか。

梨元   テレビは、キー局以外ならいいですね。地方局のワイドショーは、ジャニーズ規制に対してイラスト援用のアイデアを出すなど、切磋琢磨していてとてもいい雰囲気です。だから、私は、九州から北海道まで、地方局の番組のレギュラーになっています。また、テレビは自由だったはずなのに、新たな展開はBSから生まれています。ですから、BSでテレビを立て直したいと思っているんですよ。地上波は、未だにある程度の影響力がありますから、お声がかかれば利用します。でも、どっぷり浸かるのはもう無理ですね。

【梨元勝さんプロフィール】
1944年、東京・中野区生まれ。法政大社会学部卒後、講談社「ヤングレディ」記者となる。76年に芸能リポーターとして独立し、テレビ朝日「アフタヌーンショー」に出演。「恐縮です」の突撃取材スタイルで話題を集める。その後、テレビ朝日を中心に、ワイドショーに出演。2005年からケータイサイト「梨元 芸能!裏チャンネル」をスタートさせ、ネット媒体でも活躍している。著書多数。


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