「年越しそば」に対抗「年明けうどん」 讃岐うどんのお膝元がPRに乗り出す

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   「年越しそば」の後には「年明けうどん」を食べよう――讃岐うどんで有名な香川県内の麺業界がこんなPRに乗り出す。太くて長くて切れにくいうどんは縁起がいい食べ物だそうで、「全国に正月うどんを広めたい」と意気込んでいる。

うどんで「明るくて楽しい話題を作りたい」

   さぬきうどん協同組合、香川県製粉製麺協同組合、小豆島手延素麺協同組合を中心に、香川県内の麺業界団体・企業が「さぬきうどん振興協議会」を08年7月14日に立ち上げた。高松市に資料館を設立し、全国的なPR活動を展開する。なかでも力を入れていくのは「年明けうどん」の普及だ。年末に食べる「年越しそば」に対抗して、「年明けにはうどんを食べよう!」とPRする。

   振興協議会の事務局は讃岐うどんの製造・販売会社、めりけんや(香川県綾歌郡)に置かれている。同社の代表取締役・諏訪輝生さんは、

「黒くて、ぷつぷつと切れやすいそばと対照的に、白くて太く、長いうどんは縁起がいい。年越しそばを食べて煩悩を絶ち、正月にはうどんを食べるという習慣を全国に広めたい」

と意気込みを語る。どのようにアピールするかの具体案は、これから協議会で話し合うそうだ。

   うどんの消費量が多い香川県では、年越しそばの代わりに食べることも珍しくない。また、うどんを食べる行事もあって、毎年7月2日頃にあたる「半夏生(はんげしょう)」がそれだ。他県では似た行事はなく、新たに作ったらいいのではないか、という案が浮かんだ。香川県でも正月に食べる習慣は特になかったが、県観光協会も乗り気だという。消費量が増えるだけでなく、「明るくて楽しい話題になる」といった期待が込められている。というのも、このところうどんに関していろいろ騒動が起こっているからだ。

「さぬき」「讃岐」などが台湾で商標登録される

   08年3月、讃岐うどん業界に衝撃が走った。台湾で「さぬき」「讃岐」「SANUKI」「さぬきうどん」といった14の商標が台湾知財局に登録されていたことが報じられたからだ。登録した台湾の冷凍食メーカー、南僑化学工業が「さぬき」を店名に使った日本人のうどん店に対し、07年11月に使用停止を求めた。香川県観光振興課の担当者によると、県内メーカーが輸出している商品にも「さぬき」の名称が使われているが、それについては何も言ってきていない。しかし、今後はどうなるかわからず、振興協議会では早期に解決する必要があると見ている。

   さらに、小麦価格の高騰もうどん業界全体にダメージとなっている。農林水産省によると、08年4月現在での業務用小麦(薄力粉)の取引価格は25kgあたり3821円で、前月に比べて295円、前年同月と比べると、434円も上がっている。08年秋には再度値上げされ見通しで、事態は深刻だ。県製粉製麺協同組合の安藤弘専務理事は、「こうした様々な問題に、一企業・団体では取り組めなくなってきた。県内で協力し合うことで、行政に対しても働きかけやすくなる」と話している。年明けうどんよりも、こちらの方に力が入っているようだ。

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