ブログに住所や投資成果の記述
そのノウハウは、棚橋さん自身のブログでも惜しみなく公開されていた。ブログが開設されたのは04年10月で、最初の書き込みでは
「日本で株をやるより物価の安い国でやったほうが、仮に1万円儲けても、その1万円は日本では1万円ですが、物価の安い国では5万円、10万円の価値があるんです」
と、「外こもり」の意義を説明している。さらに、どの銘柄をいくらで買い、いくらで売ったかを、ひんぱんに細かく記載。それ以外にも、
「1ヶ月の生活費が20分で泡と消えた」
といった、喜怒哀楽も綴られているほか、
「私は10年間観光ビザで住んでいますが、観光らしい観光もしないで住んでいますが、これといってトラブルもなく観光ビザの繰り返しでも住めています。これからも住もうと思えばいつまででもいけそうです」
と、かなりきわどい話まで披露されている。
このブログは、棚橋さんが行方不明になった8月5日を最後に更新が止まっているのだが、記載されていた内容の「オープンさ」についての問題点を指摘する声もあがっている。
棚橋さんの著書の奥付にも「協力」として名前を連ねる「ふくちゃん」さんは、バンコクの旅行情報サイト「Traveler's Supportasia」のブログで、「沈没組(「外こもり」の一種)」は「タイ人庶民からしたらずっといい暮らしをしています」とした上で、「いつ、どこで金目当ての事件に巻き込まれても全然おかしくはない」と警告。具体的には、棚橋さんのブログの中に、自らの住所や投資成果(いくら儲かったか)が類推できるような記述があったことを問題視している。
8月15日になって、各紙が「日本国内の銀行でも、棚橋さんの口座から現金が引き出されていたことが分かった」などと報じている。
捜査は目下進行中だが、「海外生活でも、自分の生活を事細かにブログで披露してはいけない」というモデルケースに発展する可能性もありそうだ。