毎日新聞社がかつて発行していた英字紙「Mainichi Daily News」が「バカ母SEX献身の実例」「ポケモンの意味は勃起した男性器」などと題した変態的な記事をたくさん掲載していたことがわかった。英語版ニュースサイトだけでなく、11年前の英字紙の時代からずっと続いていたわけで、ネットだからこそ起きたこと、ではなかった。
タイトルは「『受験生』バカ母SEX献身の実例」
毎日新聞の英字紙でも「変態ニュース」が多数掲載されていた
「このような内容の記事が載ることは新聞本体ではありえないだろう。こうしたことが起きたのは、ネット新聞だったからではないか。ネットには『情報の情報化』をもたらす機能がある。新聞も週刊誌も個人ブログもその個別性を奪われ、ただ情報として並列に並べられる。このコラムの筆者はそういうネットの感覚に陥り、アングラでわいせつな雑誌記事を引用して一般紙である毎日新聞のメディアに載せてしまった」
毎日新聞が2008年7月20日に掲載した検証記事には、「開かれた新聞」委員会委員のフリージャーナリスト・玉木明氏のコメントが紹介されている。玉木氏をはじめとする委員の論評は「ネット」ということばを連発しながら、毎日新聞英語版サイトへの批判を展開している。ネットだからこそ起きたこと、というニュアンスがつきまとう。だが、11年前の英字紙の時代から不適切な記事の掲載は続いていたのである。
毎日新聞英語版サイト「Mainichi Daily News」の「WaiWai」というコーナーで、「六本木のレストランで豚を獣姦し、その後食べた」「成績を上げるために勉強前に息子の性処理をする母親がいる」といった内容の記事を過去に配信し、「低俗すぎる」などといった批判が同社に相次いだのは2008年6月下旬のこと。08年6月27日には、当時常務デジタルメディア担当だった朝比奈豊社長を役員報酬10%(1か月)返上、記事を担当していた外国人記者を3か月の懲戒休職とする処分を発表した。さらに7月20日には英語版サイトが不適切だったとする謝罪文のほか検証記事も毎日新聞紙面や日本語ニュースサイト「毎日jp」に掲載している。先述の玉木氏のコメントに代表されるように、検証記事はウェブ上の問題に焦点をあてている。
しかし、英字紙にもニュースサイトと同様に「低俗な」記事が数多く掲載されていた。例えば、1997年10月5日付英字紙では、「お母さんたちは墜ちていく、成績を上げるために!」と題された記事が掲載されており、この記事には「『受験生』バカ母SEX献身の実例」と日本語のタイトルも記載されているほか、日本人名の署名が入っている。内容は、成績を上げるために勉強前に息子の性処理をする母親がいるというもので、02年にニュースサイトで外国人記者の署名入りで配信された記事と同じものだ。
ネットとは関係なく「不適切記事」を流していたのは明白
2000年1月16日に掲載された「金欠かい?ヘイ、君のフォークをいつでも売り歩けるよ」という記事では、男性が性風俗でお金を稼ぐ方法について雑誌記事を参考に紹介されている。また、2000年1月9日には「ポケモンの意味は勃起した男性器だった!!」、2001年1月7日には「関西発パーキングエリアで一発『トラックヘルスの快感プレイ』」と題された記事が掲載されている。
毎日新聞社社長室広報担当はJ-CASTニュースに対し、英語版ニュースサイトの「WaiWai」は、2001年3月の英字紙の休刊にともなって掲載されたものであると説明した上で、
「7月20日付の検証紙面は、国内外に不適切な記事を発信した英文サイト上のコラムについての報告を中心に、英字紙時代のコラムについても、(1)国内の週刊誌や月刊誌の記事を引用しながら、日本の社会や風俗の一端を紹介する狙いだった(2)性に関する話題なども掲載され、編集者が表現を和らげるよう指摘することもあった(3)毎日新聞本紙のような綿密なチェックは行われていなかった――と同検証記事において既に言及しています。詳細は検証紙面をお読み下さい」
と書面で回答してきた。
確かに検証記事では、毎日新聞社が言うような内容のくだりは存在しているが、英語版サイトと同様に英字紙でも不適切な記事が多数あったとの説明はない。また、検証記事ではニュースサイト編集長の肩書きを持つ外国人記者1人がニュースサイトの不適切な記事を執筆していたことが要因としてクローズアップされているが、英字紙では複数の外国人記者や、日本人と思われる記者によって執筆されていた。
検証記事では、
「スタッフは外国人のみで日本人の視点が欠けていた」
「ウェブに移行した時、海外も含めた社外に英文で情報を発信することの重要さについての認識が社全体に足りなかったことも指摘せざるを得ない」
などと今回の問題の要因を分析している。しかし、実際はサイト掲載より以前から「紙媒体」で行われていたこと、英字新聞では日本人と見られる記者も執筆していることなど、ネットとは関係なく「不適切記事」を流していたのは明白で、背景には根深いものがありそうだ。