保有するあおぞら銀の株式を順次売却
東京海上は海外への投資を積極化する一方、国内投資は見直しに着手している。00年には旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の受け皿として、ソフトバンクやオリックスと3社連合を結成したが、今年に入って、保有するあおぞら銀の株式(発行済み普通株式の9.1%)を順次売却している。出資に見合う成果を得られないと判断したためだ。
また、東京海上は7月、持ち株会社の名称を従来の「ミレアHD」から「東京海上HD」に変更した。ミレアHDは02年、東京海上と日動火災海上保険が経営統合した際に設立したが、海外で「Tokio Marine」として知名度が高かった「東京海上」に比べ、「ミレア」は浸透しなかったからだ。
今回のフィラデルフィア社の買収で東京海上の利益に占める海外事業の比率は21%から35%に拡大する。業界では「名実ともにグローバル企業に脱皮する布石を打った」との観測がもっぱら。損保業界は「三井住友海上火災保険や損保ジャパンが業界首位の座を狙って、国内での再編を仕掛ける」との見方が流れていたが、東京海上の動きは他社の海外展開を刺激する可能性もありそうだ。