安易な値上げは消費者離れを引き起こすリスクも
家電販売は通常、量販店が主力となっており、安易な値上げは、消費者離れを引き起こすリスクが大きい。このため、なかなか価格改定には踏み切れないのが実情だ。しかし、エアコンは家庭に設置する際に工事が必要となるため、家電メーカー系列の販売店や住宅設備工事会社などを経由して売られる比率が高い。このため、量販店の販売が中心となる洗濯機や冷蔵庫などに比べて値上げしやすいという事情もあるようだ。
ただ、洗濯機や冷蔵庫など他の多くの家電製品も、エアコンと同様に、鋼材を大量に使用している。未曽有の鋼材価格高騰で、トヨタ自動車が高級車を中心に国内価格を1~3%値上げする方向で検討を進めているが、自動車業界でもモデルチェンジ時以外での異例の値上げに踏み切ろうとしているのが現状だ。原材料高がメーカーの収益に悪影響を及ぼすのが避けられない中、エアコンの相次ぐ価格引き上げが他の家電製品に広がる可能性も少なくはない。消費者の負担はいっそう高まりそうだ。