赤ちゃん30人に1人は混血のハーフであることが、厚生労働省の統計調査で浮き彫りになった。さらに、国際結婚は、東京都区部や大阪、名古屋両市だと、10組に1組の高率。専門家によると、欧米人を選ぶ女性がここ5年ほどで10倍以上にも増えているというのだ。日本は、ハーフが当たり前の社会になるのか。
東京都区部や大阪、名古屋両市では、10組に1組の高率
ダルビッシュ有、木村カエラ、ウエンツ瑛士…。最近、スポーツ界、芸能界を見回すと、活躍するハーフが多いのに気づく。いずれも、どこか日本人離れした異彩を放っているかのようだ。
そして、ハーフの多さを裏付けるデータが浮き彫りになった。厚労省の調査によると、2006年に生まれた赤ちゃんのうち、親の少なくともどちらかが外国人のケースが3.2%、30人に1人ほどの割合に上ったというのだ。学校のクラスに1人は、ハーフの子がいる計算になる。
実際、国際結婚は増えている。厚労省によると、06年に結婚したカップルのうち、少なくとも一方が外国人のケースが6.6%で、15組に1組ほどの計算。ここ10年で最高といい、東京都区部や大阪、名古屋両市では、10組に1組の高率だ。
各種啓発活動をしているNPO法人国際結婚協会副理事長の渡辺圭広さんは、その驚くべき内実を明らかにする。
「20~30代の日本人女性が、ヨーロッパやアメリカの外国人男性と結婚するケースが圧倒的に増えています。それは、この5年間で10倍以上にもなるほどの勢いなんです」
その理由として、渡辺さんは、近年、語学留学熱で女性が海外に目を向ける機会が多く、欧米から外資系企業の進出が著しいことを挙げる。
「女子大の文系学生9割に留学経験があるというデータもあり、外国人に対する敷居が非常に低くなっています。また、外資系の参入が増えて、大手保険会社のエリートに女性の人気が集まっている事情もあります」
日本人男性はもてなくなった!?
ただ、厚労省の調査によると、外国人の父親で多いのは、韓国・朝鮮、中国、ブラジルの順。渡辺圭広さんは、「現在はそうかもしれませんが、何年かすれば欧米の割合が高くなるでは。ノッツェやツヴァイには、『外国人はいないのか』と言ってくる日本人女性が多いと聞きますし、欧米人男性がこれからどんどん上位に来るでしょう」と分析する。
一方、日本人男性については、渡辺さんは、以前と同様にアジアの女性と結婚する傾向が続いているとする。
「40~60歳代が相変わらず多いです。ほとんどが離婚・死別か、地方の農業男性で、日本人女性とうまくいかずに外国人女性に目を向けた結果です。10年以上前から増え続けており、日本では、2000~3000の結婚紹介業者がいると言われています」
厚労省によると、外国人の母親は、外国人の父親より1.4倍多く、中国、フィリピン、韓国・朝鮮の順になっている。
渡辺さんによると、日本人男性はもてなくなったという。
「フリーター、ニートのように、お金がない若者が増えています。だから、お金を持っている外資系のエリート外国人が素晴らしいと思ってしまうわけです」
もっとも、外国人との結婚もいいことばかりではない。
国際結婚に対する法律の不備から、「ビザが下りない」との相談が多いという。また、カップルや子どもが差別意識や偏見で苦労することも。文化の違いから衝突して離婚するケースも増えている。
とはいえ、国際結婚の増加やハーフタレントの活躍を反映して、若い世代には違和感が薄れつつもあるようだ。「2、3か国語を話せる小学生のハーフは、うらやましがられます。外国語を話せてかっこいいと人気のようです」