原油高で関空便廃止・大幅減便 伊丹便と明暗分かれる

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   原油価格の高騰を受けて、航空各社が国内線路線の大幅減便・廃止に乗り出した。目を引くのが、対象路線の多くが関西空港便だということだ。その一方で、伊丹空港便はほとんど減便・廃止されておらず、明暗が分かれた形だ。

日本航空の廃止対象12路線のうち、関空が5路線

日航の廃止・減便対象には関空便が多く含まれる
日航の廃止・減便対象には関空便が多く含まれる

   原油高を受けて、航空各社が相次いで2008年度下半期の運行計画の変更を発表している。具体的には、利用者が少ない路線の機材の小型化、便数を削減、路線自体を廃止するなどだ。全日空は2008年8月6日、国内線6路線の減便と国際線2路線の廃止を発表。続いて日本航空も翌8月7日に、国内線4路線の減便と、国際線3路線・国内線12路線の廃止を発表した。

   ここで目につくのが、廃止対象の路線の中に、関西空港路線が多く含まれていることだ。日本航空の廃止対象12路線のうち、関空路線は、実に5路線。一方、橋下徹大阪府知事が「廃止も検討」と発言して波紋を呼んでいる伊丹空港で廃止が決まった路線は、伊丹-福島線の1路線だけで、「関空路線が狙い撃ちされた」との憶測も呼びかねない情勢だ

   日本航空の広報部では

「原油価格の高騰を受けて、聖域なく見直しを行った結果です。減便や運休になった路線は、利用実績が低かったり、将来的に収益の確保が期待できないと判断された路線であって、別に『関西空港だから減らす』といった話ではありません」

と、この見方を否定。だが、やはり関空の旗色は、相当悪いようなのだ。

   関空の建設が決まった当初は、伊丹廃止を前提に計画が進められたが、都心部への交通アクセスが良いことから、この方針を転換。90年に政府と地元11市が存続協定を結び、国内線専用空港として存続が決定したという経緯がある。94年の関空開港以来、これが今でも尾を引いているのだ。

伊丹-札幌線利用率90.6%に対し、関西-札幌線56.0%

   日本航空の08年6月の輸送実績に掲載されている「利用率(旅客数÷提供座席数)」からワースト10を調べてみると、伊丹路線は全く含まれていない一方、関空路線は関西-仙台線と関西-秋田線が5位と6位にランクイン。いずれの路線も、今回の廃止対象に含まれている。

   また、別の路線の利用率を見てみても、伊丹-札幌線が90.6%なのに対し、関西-札幌線は56.0%。伊丹-那覇線は76.6%だが、関西-那覇線は51.5%と、歴然とした差がついている。

   また、日本航空では

「利用率が好調で収益が見込める路線は増便します」
とも話し、今回も国内線では5路線の増便を決めている。その中には伊丹-新潟線が含まれる一方、関空路線は含まれていない。

   もっとも、関空の発着数自体は順調に伸びており、07年8月に2本目の滑走路をオープンさせたばかり。07年度の関空の発着回数は前年度比10%増の12万9000回弱で、過去最高を記録している。国内旅客便も、スターフライヤーなどの新規参入があったこともあり、同12%増の約4万5000回だ。1便あたりの利用率をいかにして向上させるかが、今後の課題となりそうだ。

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