沖縄県石垣市は、市内の小、中、高校生の喫煙者に対し、禁煙補助薬の「ニコチンパッチ」を無料で処方する取り組みを2008年8月6日から始めた。子供達をニコチン依存症から救出、未成年の喫煙者を減らす目的だが、小学生にまで「ニコチンパッチ」を提供することに対し、「本来は親の躾の問題」などと疑問視する声も出ている。
若者はニコチン依存症なりやすく早めの処置が必要
この取り組みは、石垣市健康福祉センターと八重山福祉保健所が、奈良女子大学の高橋裕子教授の協力を得て実施したもの。市内の小、中、高校生の喫煙者は、2つのいずれかの施設で禁煙のためのカウンセリングを受ければ「ニコチンパッチ」が無料で支給される。親や教師の付き添いが基本だが、一人で訪れてもプライバシー保護のため学校や家庭には知らせない。同市の資料によれば、03年に調査した高校生の喫煙率は男子生徒が31.1%。女子生徒は13.6%。小、中学生で喫煙問題が起こったのは、07年度は個人、集団を含め小学生が3件、中学生が59件だった。
石垣市健康福祉センターの知念修所長はJ-CASTニュースの取材に対し、小学4年生頃から興味本位でタバコを吸ってしまう子供がいるが、若年層はニコチン依存症になりやすいために早めの処置が必要だ、と説明する。また、八重山は「世界禁煙デー」が始まった88年から喫煙問題に取り組んでいて、市の施設や空港内などで全面禁煙を実施。現在は敷地内での禁煙も広げている。観光地として今以上に親しんでもらうことも目的で、
「未成年者のタバコを吸う習慣をなくせば、大人になってからの喫煙者数も減らせる。健康的な生活と、観光地としての親和性が高められる」
と話している。
「親は子供からタバコを取り上げ、24時間監視すべきだ」
小学生にも「ニコチンパッチ」を配布するというのは何か違和感があるが、教育現場はどう思っているのだろうか。石垣市教育委員会の小中学校担当者は、
「新聞に書かれているのは知っているが、教育委員会に(石垣市健康福祉センターから)正式な文章が来ていないため、何もコメントできない」
と話すだけだった。
月刊誌「正論」(08年9月号)に「たばこのみを狙い撃つ『空気』への大いなる違和感」を寄稿したジャーナリストで産経新聞客員編集委員の花岡信昭さんはJ-CASTニュースに対し、特に小学生への「ニコチンパッチ」支給は「ばからしい事」と一喝した。
「『ニコチンパッチ』に頼らなくても、親は子供からタバコを取り上げ、24時間監視するような態度を示さねばならない。本来は親の躾の問題で、それだけ日本の親が崩壊しているかのような印象を受ける出来事だ」