福田康夫首相による内閣改造と自民党役員人事を受け、報道各社による世論調査の結果が出そろった。「新鮮味がない」と評される改造内閣だが、朝日新聞の調査結果では、改造前と支持率が変わらなかった一方、別の新聞による調査では、実に14.7ポイントの伸びを見せている。閣僚からは、この触れ幅の大きさに、「いったい、世論調査って何なんだろうか」と、皮肉も聞こえてくる。
日経新聞と読売新聞は「大幅上昇」
各紙世論調査による福田改造内閣の支持率と不支持率
朝日・毎日・読売・共同の各社が2008年8月1日から2日にかけて、日経新聞が8月2日から3日にかけて、相次いで緊急世論調査を行った。支持率が「微増または横ばい」か「大幅上昇」かで、大きく割れている。
例えば支持率で見ると、朝日新聞では24%で、7月中旬に行った前回調査と変化なし。「改造は反転上昇のきっかけに今のところなっていないようだ」と評した。毎日新聞は前回比3ポイント増の25%。同様に「今回の人事が必ずしも政権浮揚に直結していないことが浮かび上がる結果」とした。共同通信も前回比4.7ポイント増の31.5%で、大きな変化は現れていない様子だ。
一方「大幅上昇」なのが日経新聞と読売新聞だ。日経新聞がテレビ東京と共同で行った調査の結果では、支持率は前回比12ポイント増の38%。理由については「内閣改造が『能力重視』と受け止められたことなどが支持率に好影響を与えたようだ」と分析。また、読売新聞では前回比14.7ポイント増の41.3%という結果が出ている。今回調査が行われた各社では、最大の伸び率だ。別の設問で、麻生太郎氏を自民党の幹事長に起用したことに対して66%が「評価する」と回答したことを受けて、支持率上昇の理由を「実力者の起用による政策実行力向上への期待感が政権への評価を押し上げていたことがうかがえる」と分析している。
「いささかの不信感を持ちますね」
もっとも、今回の各社による世論調査は電話で行われたのに対して、読売新聞が前回行った調査は面接形式で行われており、単純に比較することはできない。
こんな状況に対して、民主党の鳩山由紀夫幹事長は
「早晩、『福田政権はダメだ』と、世論が烙印を押すときが来るだろう」
と、今回の支持率上昇は「ご祝儀」に過ぎず、早期の衆院解散があるとの見通しを示した。一方、与党側からは、冷ややかな声も聞こえてくる。
町村信孝官房長官は、8月3日午前、テレビ朝日系の報道番組「サンデー・プロジェクト」に出演、各紙によって世論調査の数字がばらついていることについてコメントを求められると、
「読売新聞は(支持率が)大幅に上がってますよねー。各社によってこれだけ数字が違うと、いったい世論調査って何なんだろうかと、いささかの不信感を持ちますね。うーん、わからないですねー」
と困惑した様子。さらに、
「だから、『あまり数字を気にして政治をしてはいけない』ということの戒めだと思っています」
と述べ、「優等生的発言」で出演を締めくくっていた。