「アイスが溶けた」「彼女に振られた」 トンデモ110番に警察四苦八苦

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   「彼女に捨てられた。どうしたらいいか」「自販機のお釣りが少ない」。こんなトンデモ「通報」が各県の県警に寄せられている。こんな通報でも事件につながる可能性もないとは言えないので、できるかぎり対応するというのが各県警の姿勢だ。しかし、「とんでもない通報が昔より増えた」ようで、警察も苦労が絶えないといったところだ。

「パトカーで送ってもらいたい」

   栃木県警によれば、2008年上半期(1~6月)の110番受理件数は約6万9400件で、このうち無言やいたずらといった「無効件数」は4805件で全体の約7%に上った。県警通信指令課によれば、なかには「彼女に捨てられた。どうしたらいいか」「アイスクリームが溶けた」といった「通報」もあった。このため、小冊子「こんなことでも110番?」を800部作成して、この種の110番通報をやめるように呼びかけている。

   通信指令課によれば、「彼女に捨てられた」といった通報があると、県警は状況を聞いたうえで所轄の相談窓口を案内する。「アイスが溶けた。どうすればいいか」という通報では「冷蔵庫の電気の線が切れたのでは」などと状況確認を行ったという。「事件や事故につながる可能性がないとはいえない」(同課)ため、こういった通報でも対応せざるを得ないのだという。また、08年4月に暫定税率が一時的に切れた際には、「(店が)ガソリンを25円下げない。詐欺ではないか」という通報があり、県警では「店はまだ仕入れの段階で、まだ価格に転嫁されていないのではないか」などと指摘したという。

   担当者もあらゆる通報に対応できるようしているため、苦労が絶えない様子だ。ほかにも「帰れないので、パトカーで送ってもらいたい」「自販機のお釣りが出ない」といった110番通報が寄せられた。

119番でも同じようなことが起こっている

   富山県警の場合、2008年上半期の110番受理件数は約2万6300件で、無効件数は約4000件だった。無効件数は減少傾向にあるものの、こちらもトンデモ110番が増えている。

   県警通信指令室によれば、ここでも「自販機のお釣りが少ない」という通報があり、「自動販売機の業者に連絡してください」などと応対したが、「県民が困った時に助けるのが警察ではないのか」と詰め寄られたケースもあった。また、酔っ払って警察に保護され、パトカーで自宅に送り届けられた経験のある者が、「味をしめて」何度も110番通報してくるケースもあるのだという。「たぬきが溺れているので何とかしてくれ」という通報もあった。

   07年末には「腹が減ったので500円渡すから食べ物を買ってきて欲しい」という通報が男性からあり、警察官が出動した。男性は一人暮らしで認知症を発症しており、保護の手続きをとったという。「孤独死するかもしれなかった」状況を救ったことになる。「むげにはねつけてしまうわけには行かない」(同県警担当者)のは、こうした事情もある。

   ただ、ある警察関係者はこのように漏らしている。

「20年ほど前にも通信指令室で担当したが、当時もとんでもない通報はあるにはあった。しかし、今ほどひどくなかったですね。これは110番に限った話でなく、119番でも同じようなことが起こっている。やはりモラルの問題なんじゃないでしょうか」
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