「予告.in」なくしネット監視を国家に委ねるのか?
矢野さんが「予告.in」を始めたきっかけは08年6月11日に起こった秋葉原無差別殺傷事件。容疑者が犯行予告や犯行直前までの様子をインターネット上に書きこんでいたことだった。凶悪事件を阻止するために、こうしたサイトの登場はかなり有意義で、賞賛する人は多いのだが、一方で「2ちゃんねる」を中心に、相当数のバッシングが出ているのだ。
バッシングの中身は、監視されているようで「息苦しい」というものから、「イタズラで書いたものまで通報され、犯罪者に仕立て上げられる」「逆に殺害予告を増やしている」「ネットで言葉狩りをして成り上がろうとしている」など様々だ。テレビ放送後に一層激しくなり、サイト自体を潰そうと呼び掛けるカキコミや、「矢野死ね」など犯行予告に近いものが大量に出てきた。
矢野さんはテレビで、
「国で運営していただければ、僕がチェックする必要がなくなりますからね。ある程度、(国に)打診していますが、なかなか難しいですよね」
などと、自己運営の難しさを語っていた。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、バッシングに負けずに「予告.in」を矢野さんは運営していくべきだという考えだ。「予告.in」はネットユーザーがボランティアで犯行予告を見つけて通報。なんとかネットを良くしていこうという「自警団」として成長している、と見ているからだ。
「自分の意に沿わないからとバッシングしているが、では、『予告.in』を無くしネットの監視を国家に委ねるのか、となると、ネットでの活動の自由が脅かされる可能性も否定できない。もっと先を予測するべきだ」
と話している。