アルバイトや副業、一時的なつなぎとしては有用な働き方
「しんぶん赤旗」は08年7月29日付けの電子版で、
「規制緩和から規制強化に転じるものであり、派遣法の抜本改正を求める労働者・国民の世論と運動の反映です」
とこの報告書を評価している。そして、非人間的な日雇い派遣や30日以内の短期派遣を原則禁止することは当然だが、さらに、
「首切り自由の使い捨て労働をなくすために『登録型派遣』を増大させた1999年の原則自由化以前に戻すことが求められます。常用型派遣(常用雇用)を原則にして、登録型を厳しく制限しない限り解決できない」
と主張している。
しかし、これで問題がすべて解決というわけではない、という見方も強い。日本総研は08年7月29日付けで同社ホームページ上に「日雇い派遣禁止・派遣規制強化は妥当か」と題した論文を掲載した。「日雇い派遣禁止」という一見分かりやすい対応が問題の本質を見えなくしてしまうという内容だ。日雇い派遣は昔から存在し、仕事のやりかたの一つとして定着、学生アルバイトや副業、一時的なつなぎとしては有用な働き方だと指摘している。ワーキングプアやネットカフェ難民の温床と捉えているのがそもそもの間違いで、
「現実には一定程度の不安定・未熟練雇用が生まれてくることは避けられない」
としている。そのうえで、必要以上に増えない仕組みをどう構築するか、正社員との間の処遇均衡化を目指し、未熟練労働者の能力開発や生活保障をどう図っていくか、という問題に正面から向き合うことが求められている、と書いている。