米航空宇宙局(NASA)の元宇宙飛行士が、ラジオ番組で「宇宙人が何度か人類に接触してきたが、政府はそれを隠蔽してきた」などと発言、タブロイド紙などで報じられた。さらに、ロイター通信などの「主流メディア」も「後追い」し、騒動が広がってきた。
「私たちのうち何人かは、一部の情報について説明を受けることができた」
宇宙人は本当にいるのか(写真はイメージ)
「宇宙人発言」の主は、1971年に打ち上げられた「アポロ14号」に搭乗したエドガー・ミッチェル氏(77)。ミッチェル氏は、アラン・シェパード氏とともに、9時間17分という月面歩行の最長記録を持っている。
ミッチェル氏は2008年7月23日に放送された英音楽専門ラジオ局の番組の中で、地球外に生物が存在することを信じているかどうかを聞かれ、
「私たちは(宇宙で)ひとりぼっちではないことを確信している」
と、宇宙人の存在を肯定。その上で、
「宇宙人が過去にこの惑星(地球)を訪問しており、UFO現象は本物だ、という情報に触れる機会があった。だが、この事実は約60年間にわたって、政府によって隠ぺいされてきた。だが、少しずつ情報はもれ、私たちのうち何人かは、一部の情報について説明を受けることができた」
と述べた。宇宙人の外見については、体は小さいが目と頭は大きく、「ハリウッド映画に出てくるものと似ている」のだそうだ。さらに、人類が持っている技術は、宇宙人のものと比べて「洗練されていない」とした上で、
「もし彼らが敵対的であったならば、人類は滅ぼされていたことでしょう」
と警告した。
一方のNASAは、
「NASAでは、UFOを追跡することはしていません。ミッチェル氏は偉大なアメリカ人ですが、私たちは、この件についてのミッチェル氏の意見を共有するものではありません」
と、「宇宙人訪問説」を否定した。
ロイター通信が動画でインタビューを配信
この段階では、英国の代表的タブロイド紙である「デイリー・メール」などが報じるにとどまっていた。だが、米ドキュメンタリー専門局「ディスカバリー・チャンネル」やロイター通信がミッチェル氏にインタビューするなど、騒動は「主流メディア」にも波及した。もっとも、このレポートでは、「宇宙人説」に否定的なUFO専門家のコメントをあわせて紹介するなど、全体的に抑制的だ。
一方、日本国内での報道ぶりをみると、7月25日に時事通信が事実関係を淡々と報じた後、翌7月26日には、UFO報道が得意な「東京スポーツ」が、
「ミッチェル氏は非常に信頼に足る人物」
「私がつかんだ情報によれば(UFOの情報は)2009年から2~3年以内に公開されるとのことです」
と、複数のUFO専門家の声を紹介。「宇宙人実在説」にきわめて肯定的な論調で報じた。