外資や自動車にくらべるとケタが違う
そんな中で、「ひとケタ違うんじゃないか」と、銀行の役員賞与が1000万円にもならないことに驚きの声がある。
金融危機の時代、銀行は「公的資金で救済されていながら銀行員の給与が高いのはおかしい」といった批判もあって、役員賞与の返上や役員報酬、行員の給与の引き下げを行った。バブル崩壊後の平取締役の役員賞与はゼロ、役員報酬でも年3000万円程度にまで落ちた。
ある大手銀行の関係者は、「収益が上向いたときに公的資金が残っていて、どうにもならなかった。(賞与を)あげる大儀名分がなかった」と振り返る。
国際金融アナリストの枝川二郎氏は1000万円に届かない役員賞与に、「ちょっと低いですね」と同情的だ。「日本を代表する銀行のトップとして、とても面目が保てる水準とはいえない」という。
他の業界と比べても、たとえばトヨタ自動車は6月の株主総会で総額10億200万円の役員賞与が承認された。対象となる取締役は29人なので、一人平均3455万円に上る。外資系企業では1億円を超すのはめずらしくもないし、日産自動車のカルロス・ゴーン社長も1億円以上もらっていた。
枝川氏はこう解説する。「上をみながら仕事をする若手にとって、上司の給料が上がらないと、自分の将来にも失望する。いまの30歳代が外資系企業に転職するのは、それもあってのこと。生涯賃金で考えると、いまの日本の銀行の魅力は薄れている」。
復活したメガバンクの役員賞与、将来を背負って立つ人材を繋ぎとめておくためには必要だったのかもしれない。