ネット上に殺害予告をして逮捕されてしまうケースが相次ぐなか、直接「殺す」といった表現を使わない「変化球」のような、「犯行予告らしきもの」も相次いでいる。「犯行予告通報サイト」でも、どう扱うべきか困惑気味な議論が展開されているが、サイトの管理人は「他人に迷惑がかかる『微妙な行為』をすること自体が許されない」と訴えている。
「悪ふざけ」という弁解は通じない
「埼京線の止野駅で小女子を焼き投す」との書き込みも登場
ここ1か月を振り返るだけでも、ネット上に奇妙な「犯行予告」らしきものが相次いでいる。
例えば、7月1日には、名古屋市北区の会社員の少年(18)が、2ちゃんねるに「明日、名古屋駅で無差別に人を投します」と書き込んだとして逮捕された。少年は「単に、『殺す』だと面白くないので、字の似た『投』にした」などと供述したという。
7月14日には、「今日の午後9時に、埼京線の上野駅で人を殺しまくります!」と書き込んだ板橋区在住の無職男(32)が逮捕されている。男は、「埼京線には上野駅が存在しないので、犯罪にはならないと思った」と主張。
さらに、7月16日には、千葉県船橋市の無職男(23)が、自身の卒業した小学校を名指しして「小学校で小女子を焼き殺す」と書き込んで逮捕されている。男は調べに対して、「『小女子』は『コウナゴ』と読み、魚の意味だ」と独自の論理を展開し、容疑を否認したという。
いずれのケースも、逮捕容疑は「威力業務妨害」や「偽計業務妨害」だ。前者は暴力的な表現を用いて業務を妨害すること、後者は嘘の情報で業務を妨害することを指す。具体的には、警察や小学校に警戒態勢をとらせ、本来の業務を妨害した疑いでの逮捕だ。この傾向を見る限り、「実際に犯行を行うかどうかに関係なく、犯行予告で誰かに労力を使わせた」ことが逮捕の理由になっている模様だ。
このような逮捕事例が相次いでいるにもかかわらず、「模倣犯」は後を絶たない。例えば7月16日夜には、2ちゃんねるの「ニュース速報(VIP)」と呼ばれる掲示板には、
「埼京線の止野駅で小女子を焼き投す」
というタイトルのスレッドが立ち、スレッドの本文には、こう書き込まれた。
「チャッカマンを使って、こんがり焼けてきたらたら(原文ママ)ダガーナイフ使います」
これまでの事件や犯行予告の、あらゆる要素が盛り込まれた「犯行予告」だと言えそうだ。