「分限免職については回避努力をするように定められています」
人事院によれば、国家公務員法で定められた「分限免職」の理由としては、勤務実績の不良、心身の故障、公務員の適格性の欠如のほかに、官制もしくは定員の改廃、または予算の減少による廃職などが挙げられる。今回の「分限免職」は社保庁の廃止ということで「官制もしくは定員の改廃」にあたることになり、「分限免職は適正な手続き」ということになる。しかし、人事院の担当者はJ-CASTニュースに対し、
「公務員制度上、配置転換などして、分限免職については回避努力をするように定められています。機構にいけない人については、勤務実績や心身の故障に応じて適したところに配置転換する努力がされることでしょう。その上で分限免職を適用するとしても、個別に客観的に判断する必要があり、(処分を受けたからといって一律に免職者を)恣意的に選ぶことはできません」
と説明する。要は、公務員制度上、懲戒処分を受けた社保庁職員867人全員を新機構に採用しないにしても、配置転換して免職を避けるように、つまり「懲戒処分を受けても公務員のまま」であるように政府は努力しなくていけないというわけだ。政府関係者も「免職になった職員が免職を不当として裁判を起こした場合、回避努力がされたかが争点になる」と話す。
町村官房長官は2008年7月23日の記者会見で、新機構の不採用者について厚労省で採用する可能性があることを明らかにしているが、それでは何のための「一律不採用」だったのか、謎は深まるばかりだ。