毎日新聞社の英語サイトが「低俗すぎる記事」を掲載していた問題で、毎日新聞は検証記事を掲載したが、国際的に反響が出てきた。共同通信が検証記事の内容を英語で配信したほか、米名門紙の捏造事件を引き合いに出す米国メディアもあり、「マスコミ業界における一大事」との見方が広がっているようだ。
「意図的な誤訳」という記事を書く際の過程に注目
国外メディアも「WaiWai問題」を報じている
毎日新聞社は3連休の真ん中でもある2008年7月20日、紙面とウェブサイトに検証記事を掲載、「深刻な失態であり、痛恨の極みです」などと改めて謝罪した。この検証記事を複数の英文メディアが後追いした。
例えば、共同通信が配信する英語ニュース「Japan Economic Newswire」では、毎日新聞の検証記事が出た当日に「毎日新聞、ネットの英語コラムに対する批判を受けて出直しを誓う」との見出しで、検証記事の内容を淡々と伝えた。
一方、海外メディアは、若干切り口が違うようだ。
例えば、翌7月21日には、米国のブログ型ニュースサイト「ゴーカー」が、最初に注目されがちな「低俗」な記事の内容よりも、「捏造・意図的な誤訳」という、記事を書く際の過程に注目し
「毎日新聞は、この上なく性的に倒錯した記事をでっち上げたか、あるいは引用元の文章を故意に誤訳した」
と紹介。毎日新聞のサイトに掲載されていた「低俗な内容」の内容を具体的に紹介しながら、記事に書かれたような事実はなかったことを報じた。さらに、
「内部調査は、『タイムズ』の『ジェイソン・ブレア事件』に匹敵するものと見られている」
と、今回の事件が「マスコミ業界における一大事」であることを強調している。
「ジェイソン・ブレア事件」とは、03年にニューヨーク・タイムズ紙のジェイソン・ブレア記者が50本近くの記事を他メディアから盗用、または捏造していたことが発覚した事件で、編集主幹と編集局長が辞任するという事態に発展している。
「記事は、掲示板やブログを介して世界中に広まった」
さらに、翌7月22日には、英デイリー・テレグラフ紙(電子版)が「日本の新聞、悪名高いセックスコラムが真実でないことを認める」との見出しを立て、この問題を報道。「毎日新聞」というブランドが悪用されたことを指摘した。
「評論家は、WaiWaiのコラムが、日本人女性が異常性癖を持っているとのステレオタイプを広めるのを促進し、日本の国際的な評価を低下させたとして批判している。コラムに掲載された記事は、掲示板やブログを介して世界中に広まった。記事は信頼のおけない日本のタブロイド紙を情報源にしたものだが、信頼されている『毎日』という錦の御旗が、記事に信頼性を与えてしまった、と評論家は主張している」
また、検証記事が掲載される前の段階では、問題の一連の記事を執筆したライアン・コネル氏の出身国、オーストラリアの新聞も、この問題を取り上げている。
7月5日には、シドニーの高級紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」とメルボルンの高級紙「ジ・エイジ」が、この問題を報道。両紙の記事はほとんど同じ内容で、
「日本の評価が世界中で意図的に低下させられたと感じた数千ものネットユーザーが、『低俗なオーストラリア人ジャーナリスト』を非難しようと掲示板サイトになだれ込んだ」
とネットユーザーの行動を紹介。毎日新聞に広告を出稿している企業への抗議が相次いでいるなどと報じている。