NASA予算教書には、購入可能性の記述
NASAの声明が本当なら、読売などの報道はどうなのか。
そこで、JAXA側にJ-CASTニュースが確認取材すると、「NASAからの打診は、公式にも、非公式にもありません」とこちらも報道を否定した。事業推進部の担当者は、「読売に聞いていただかないと、何とも言えない」としながらも、次のように話す。
「NASAが言うので、言っている通りです。NASAは、アメリカ国内の民間企業から調達する方針です。今年6月末に企業の公募を終えており、現在はベンチャー企業2社の開発を援助しています。そして、自主開発企業の選定作業をしており、2010年までに実験フライトする計画です」
ただ、読売などの報道には、ベースがあるとも明かす。「NASAが今年2月に発表した予算教書の中に、実は、HTVとヨーロッパの無人宇宙輸送機ATVを調達することができるとあります」。ところが、NASAは2月の時点で、企業の公募も打ち出していたという。
なぜこうした矛盾があるかについて、担当者は、「分からない」としながらも、「本音と建前の使い分けは、あるかもしれませんね」と明かす。日本製も検討していると言えば、「NASAが困るでしょうね」といい、米国企業側に配慮した可能性を示唆した。
さらに、JAXAの担当者は、含みを持たせた言い方でこう言う。「2社の開発作業は進んでおらず、間に合うのか疑問があります。HTVならシャトルの後継機として十分な機能を持っており、大きな装置を運ぶことは、HTVしかできません」
文科省宇宙利用推進室の室長は、J-CASTニュースに対し、「正式な打診はないと承知しています。NASAは、国内調達の原則に変わりはないということを言ったのだと思います」と話す。一般論として、日本の宇宙船購入の期待がまったくないわけではないとしながらも、シャトル後継機については、「アメリカは完全否定していますし、お答えできません」としている。
読売新聞東京本社広報部では、J-CASTニュースに、「本件報道は、紙面に掲載された内容がすべてです」とコメント。毎日新聞社社長室広報担当では、「お問い合わせの記事については、内容に自信を持っております。NASAが全面否定したとのことですが、その経緯については当方は関知しておりません」としている。